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民泊の必要設備まとめ|非常用照明・自火報・誘導灯がいる条件とは

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「民泊を始めたいけれど、どんな設備をそろえればいいのかわからない」。民泊の設備について調べると、家具・家電の買い物リストから消防設備の工事までが入り混じっていて、どれが法律上の義務で、どれが運営上の工夫なのかが見えにくくなっています。
結論からいうと、民泊に必要な設備は次の3つに分けて考えると整理できます。

  • 制度の要件として必ず必要な設備:住宅宿泊事業法の「台所・浴室・便所・洗面設備」、旅館業法や特区民泊の構造設備基準
  • 建物と運営形態によって必要になる安全設備:非常用照明器具、自動火災報知設備、誘導灯、消火器、防炎物品など
  • 本人確認と日々の運営に必要な設備:本人確認用の端末、鍵の受け渡しの仕組み、標識や外国語の案内、家具・家電・寝具

なかでも費用を大きく左右するのが2つ目の安全設備です。住宅宿泊事業法(民泊新法)で運営する場合、宿泊中に家主が不在になるか、宿泊室の床面積の合計が50㎡を超えるかによって、住宅宿泊事業法の安全措置と消防法上の扱いの両方が切り替わります。自宅の一部を貸す家主居住型と、空き家やマンションの一室を貸す家主不在型では、同じ「民泊」でも必要な工事がまったく違うのです。
さらに2026年7月には、国が自治体に対し、騒音計や出入口カメラといったICT機器による管理を条例で義務付けることも考えられるとする通知を出しました。設備は「開業時に最低限そろえるもの」としてだけでなく、「今後の条例改正にも対応できるか」という視点で選ぶ必要が出てきています。
出典:観光庁「地方公共団体に対して民泊に関する通知を行いました」(2026年7月15日)/観光庁「『住宅宿泊事業を対象としたICTによる管理に関する説明会』における説明企業の募集について」
この記事では、制度ごとの設備要件、消防用設備、本人確認のための機器、掲示物、家具・家電までを順に整理し、準備の進め方とよくある質問をまとめます。法令や制度に関する記述には、国と自治体の公式資料を出典として明記しました。

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民泊に必要な設備の全体像【運営形態別の早見表】

民泊の設備要件は、次の3つの条件で大きく変わります。物件探しや見積もりの前に、自分の計画がどれに当たるかを確認してください。

条件選択肢設備への影響
運営する制度住宅宿泊事業法(届出)/旅館業法の簡易宿所営業(許可)/特区民泊(認定)制度ごとに求められる構造設備が異なる。住宅宿泊事業法は営業日数が年180日までに制限される
宿泊中に家主がいるか家主居住型(家主が不在にならない)/家主不在型家主不在型は、住宅宿泊事業法の安全措置と、消防法上の宿泊施設扱いの対象になる
宿泊室の床面積宿泊者が就寝に使う室の床面積の合計が50㎡以下/50㎡超50㎡を超えると、家主がいても安全措置と消防法上の宿泊施設扱いの対象になる

「家主居住型」「家主不在型」は法律上の用語ではありませんが、一般に、宿泊者の滞在中に届出者が届出住宅にいる場合を家主居住型、管理業者に委託して届出者が不在となる場合を家主不在型と呼んでいます。消防法上の用途を判定するときの「不在」の考え方も住宅宿泊事業法と同じで、日常生活で通常行う範囲の一時的な外出だけが不在から除かれます。
出典:観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)/消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)

運営形態別・必要な設備の早見表

設備住宅宿泊事業(家主居住型・宿泊室50㎡以下)住宅宿泊事業(家主不在型または宿泊室50㎡超)旅館業(簡易宿所)特区民泊
台所・浴室・便所・洗面設備4つとも必須4つとも必須入浴・洗面・便所の設備が必要(入浴設備は近くに公衆浴場があるなど支障がない場合を除く)4つとも必須
非常用照明器具(住宅宿泊事業法の安全措置)原則不要原則必要対象外(建築基準法・条例の基準を個別に確認)対象外(同左)
自動火災報知設備不要(住宅用火災警報器は必要)必要(小規模なら特定小規模施設用でも可)原則必要原則必要
誘導灯不要必要(免除の特例あり)必要(免除の特例あり)必要(免除の特例あり)
消火器不要延べ面積150㎡以上などの場合に必要同左同左
防炎物品(カーテン・じゅうたん等)不要カーテン等を使う場合は必要同左同左
本人確認のための設備対面、または条件を満たすICT(備え付けのテレビ電話・タブレット等)同左玄関帳場等、またはICTを活用した設備が望ましい(条例で基準化している自治体もある)滞在者名簿の備付けが必要(確認方法は自治体の基準による)
家具・寝具・調理器具法令上の指定なし法令上の指定なし条例等による寝具・テーブル・椅子・収納家具・調理器具・清掃器具が必須

※消防用設備は、建物全体の延べ面積や、共同住宅のうち民泊に使う住戸の割合などによっても変わります。表は一般的な整理であり、最終的な判断は管轄の消防署が行います。
出典:観光庁「対象となる住宅|民泊制度ポータルサイト」/国土交通省「民泊の安全措置の手引き(令和6年4月1日最終改訂)」(PDF)/消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)/鳥取県「旅館業 構造設備の基準(旅館業法施行令第1条)」(PDF)/厚生労働省「旅館業における衛生等管理要領の改正(令和7年3月11日付)に関するFAQについて」(PDF)/内閣府「国家戦略特別区域法施行令(抄)」(PDF)

【住宅宿泊事業法】届出に必要な「台所・浴室・便所・洗面設備」

住宅宿泊事業法で民泊を行う「住宅」は、設備要件と居住要件の両方を満たす必要があります。設備要件は、家屋に台所・浴室・便所・洗面設備の4つが設けられていることです(第2条第1項)。

4つの設備の判断基準

観光庁は、4つの設備について次のような考え方を示しています。

設備認められる例認められない・注意が必要な例
台所シンク(流し台)のある台所電子レンジを置いただけのスペースは台所と認められない。シンクは必須
浴室浴槽のないシャワールーム、ユニットバス届出住宅に含まれない近くの公衆浴場などでの代替
便所和式・洋式は問わない特になし(ただし4設備に共通して、複数の届出住宅での共用は不可)
洗面設備独立した洗面台のほか、ユニットバスのように複数の機能を兼ねる設備台所を洗面設備と兼ねる場合は、給排水に加えて調理と洗面それぞれの機能が必要

4つの設備は1棟の建物内にそろっている必要はなく、同じ敷地内の複数の建物を一体的に使う権限があり、それぞれの設備が使える状態であれば、まとめて一つの「住宅」として届け出られます。一方で、4つの設備は「住宅」の一部なので、複数の届出住宅で同じ設備を共用することはできません。1棟を複数の届出住宅に分ける場合は、それぞれに4つの設備が必要です。
出典:観光庁「対象となる住宅|民泊制度ポータルサイト」/観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)/e-Gov法令検索「住宅宿泊事業法」

居室の広さは宿泊者1人あたり3.3㎡以上

設備そのものとは別に、衛生を確保するための広さの基準もあります。住宅宿泊事業者は、居室の床面積を宿泊者1人あたり3.3㎡以上確保しなければなりません(第5条)。
ここでいう居室の床面積は、宿泊者が占有する部分の面積です。台所・浴室・便所・洗面所・廊下や、押入れ・床の間は含まず、内寸で算定します。たとえば居室部分が内寸で20㎡なら、同時に泊められるのは6人までです。ベッドや布団の数は、この上限から逆算して決めましょう。
出典:観光庁「事業者の業務[1]|民泊制度ポータルサイト」/観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)

「部屋ごとの鍵」は法令上の必須設備ではない

住宅宿泊事業法では、届出住宅の部屋ごとに施錠できることは必須ではありません。ただし観光庁は、トラブル防止のため、宿泊者の安全性や利便性に配慮するよう求めています。複数のグループを別々の部屋に同時に泊める運営を考えている場合は、鍵の設置に加えて、次の章で説明する防火の区画等の措置も必要になります。
出典:観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)

【住宅宿泊事業法】安全措置として必要な設備

住宅宿泊事業者は、届出住宅に非常用照明器具の設置、避難経路の表示、そのほか火災などの災害が起きたときに宿泊者の安全を確保するための措置を講じなければなりません(第6条)。部屋の構造を知らない宿泊者が滞在することを前提にしたルールで、具体的な内容は国土交通省令と国土交通省告示第1109号で定められています。
出典:e-Gov法令検索「住宅宿泊事業法」/国土交通省「民泊の安全措置の手引き(令和6年4月1日最終改訂)」(PDF)/国土交通省・消防庁「住宅宿泊事業における安全確保のための措置のあらまし」(PDF)

家主居住型で宿泊室50㎡以下なら、非常用照明などは原則不要

安全措置がどこまで必要かは、建物の建て方と運営形態で決まります。

安全措置一戸建て・長屋(家主居住型・宿泊室50㎡以下)一戸建て・長屋(左記以外)共同住宅・寄宿舎(家主居住型・宿泊室50㎡以下)共同住宅・寄宿舎(左記以外)
非常用照明器具不要必要不要必要
防火の区画等不要複数のグループを複数の宿泊室に泊める場合に必要不要複数のグループを複数の宿泊室に泊める場合に必要
規模に応じたその他の措置必要(床面積や階数が一定以下なら不要)必要(同左)不要不要

ここでの「宿泊室」は宿泊者が就寝に使う室を指し、押入れや床の間は含めず、壁の中心線で床面積を測ります。前の章の「1人あたり3.3㎡」が内寸で測る居室の面積だったのとは、測り方も対象も異なる点に注意してください。
出典:観光庁「事業者の業務[1]|民泊制度ポータルサイト」/国土交通省「民泊の安全措置の手引き(令和6年4月1日最終改訂)」(PDF)/消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)

非常用照明器具:建築基準法の基準に適合する製品を選ぶ

非常用照明器具は、停電時にも点灯して避難経路を照らす照明です。建築基準法施行令第126条の5の技術的基準に適合するものである必要があり、一般的には、一般社団法人日本照明工業会が基準への適合を評定した「JIL適合マーク」付きの製品が該当します。停電時に点灯する機能があっても、基準に適合しない製品では措置を満たせないため、購入前にカタログや本体の表示で確認しましょう。
設置場所は、宿泊室と、宿泊室から地上(共同住宅の場合は住戸の出口)に通じる廊下や階段などです。外気に開放された通路や、クローゼット・トイレ・洗面所・浴室には不要です。また、床面積30㎡以下で地上への出口がある居室や、採光に有効な窓が十分にあり屋外への出口までの歩行距離が短い居室など、一定の条件を満たす居室も不要とされています。
出典:国土交通省「民泊の安全措置の手引き(令和6年4月1日最終改訂)」(PDF)

防火の区画等:複数のグループを別々の部屋に泊めるなら必要

同じ届出住宅の2つ以上の宿泊室に、別々の契約の宿泊者を同時に泊める場合は、次のいずれかの対応が必要です。一つの契約で泊めるグループが複数の部屋を使う場合は対象外です。

  • 防火の区画:宿泊室と避難経路の間などを準耐火構造の壁で区画し、その壁を小屋裏または天井裏まで到達させる
  • 自動火災報知設備等の設置:消防法令の基準に適合する自動火災報知設備等を設けたうえで、居室から直接屋外へ出られるようにするか、屋外への出口までの歩行距離を8m以下にして壁とドアクローザー付きの戸などで通路と区画する、といった条件を満たす
  • スプリンクラー設備等の設置:床面積200㎡以下の階などに、消防法令の基準に適合するスプリンクラー設備等を設ける

既存の住宅で壁の区画工事を行うと大がかりになりやすいため、ゲストハウスのように部屋単位で販売する計画なら、物件を決める前に費用を見積もっておくべき項目です。
出典:国土交通省「民泊の安全措置の手引き(令和6年4月1日最終改訂)」(PDF)

一戸建て・長屋は「規模」に応じた措置も確認

届出住宅が一戸建てや長屋の場合は、家主居住型であっても、建物の規模に応じた措置が求められます。主な基準は次のとおりです。いずれも、直通階段を2つ以上設ける、内装を難燃材料にする、耐火建築物にするといった例外が設けられています。

  • 2階以上の各階で、宿泊室の床面積の合計を100㎡以下にする
  • 宿泊者が使う部分の床面積の合計を200㎡未満にする
  • 各階で、宿泊者が使う部分の床面積の合計を200㎡(地階は100㎡)以下にする
  • 2階で、宿泊者が使う部分の床面積の合計を300㎡未満にする
  • 宿泊者が使う部分を3階以上に設けない(延べ面積200㎡未満で警報設備などの基準を満たす場合は3階まで可)

一般的な2階建て程度の戸建て住宅であれば基準内に収まることが多いものの、3階建ての住宅や大きな古民家を活用する場合は、早い段階で自治体に相談してください。
出典:国土交通省「民泊の安全措置の手引き(令和6年4月1日最終改訂)」(PDF)

避難経路の表示と図面への記載

避難経路の表示は省令で直接定められた措置で、非常用照明器具のような「家主居住型・宿泊室50㎡以下」の適用除外はありません。市町村の火災予防条例で表示内容が定められている地域もあるため、条例を確認して表示に盛り込む必要があります。また、災害時に宿泊者が円滑に避難できるよう、周辺の避難場所などの情報を提供することも求められています。
届出時に添付する住宅の図面には、非常用照明器具の位置など、安全措置の内容を明示することとされています。工事の前に設置位置を図面に落とし込んでおくと、手続きがスムーズです。
出典:国土交通省「民泊の安全措置の手引き(令和6年4月1日最終改訂)」(PDF)/観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)

【消防法】民泊で必要になる消防用設備

住宅宿泊事業法の安全措置とは別に、消防法令への適合も必要です。住宅宿泊事業法の届出の際には、自治体から消防法令適合通知書の提出を求められます。法律で定められた必須書類ではありませんが、住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)で、都道府県知事等が届出時にあわせて提出を求めることとされています。
出典:観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)/消防庁「民泊における消防法令上の取扱い等について」リーフレット(PDF)

「家主不在」か「宿泊室50㎡超」なら旅館・ホテルと同じ扱い

住宅で民泊を行う場合、消防法上の用途は、家主の在・不在と宿泊室の床面積で判定されます。

建物判定の条件消防法上の扱い
一戸建て住宅家主が不在になる、または宿泊室の床面積の合計が50㎡超旅館・ホテルなどと同じ宿泊施設(消防法施行令別表第1(5)項イ)
一戸建て住宅家主が不在にならず、宿泊室の床面積の合計が50㎡以下一般住宅
共同住宅(アパート・マンション)住戸ごとに上記と同じ基準で判定宿泊施設扱いの住戸が1戸でもあれば、建物全体の用途が変わる(9割以上なら宿泊施設、9割未満なら複合用途)

家主の在・不在は、一戸建ては建物単位、共同住宅は住戸単位で判断します。注意したいのは共同住宅で、自分の住戸だけの問題では済まず、建物全体の消防法上の用途が変わり、建物全体に消防用設備が必要になる場合がある点です。マンションの一室で民泊を始める場合は、物件を契約する前に必ず消防署に相談してください。
出典:消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)/消防庁「民泊における消防法令上の取扱い等について」リーフレット(PDF)

自動火災報知設備:小規模なら「特定小規模施設用」で対応できる

宿泊施設として扱われる民泊では、自動火災報知設備の設置が必要です。通常の自動火災報知設備は、感知器・受信機・発信機・音響装置を配線でつなぐため、壁や天井の内部で配線工事が必要になります。
一方、一般的な大きさの一戸建て(延べ面積300㎡未満、原則2階建て以下)では、無線式の感知器だけで構成できる特定小規模施設用自動火災報知設備(特小自火報)を設置できます。共同住宅では、建物の延べ面積が300㎡未満の場合や、300㎡以上500㎡未満で民泊部分が延べ面積の10%以下かつ300㎡未満の場合に、民泊部分だけに特小自火報を設置すれば足ります。10%を超えると建物全体に感知器を設置する必要があり、延べ面積500㎡以上ですでに自動火災報知設備がある建物では新たな設置は不要です。
特小自火報を選ぶ際のポイントは次のとおりです。

  • 電池式・無線式の感知器なら配線工事が不要で、感知器だけの構成なら消防設備士の資格がなくても設置できる(設置後の届出は必要)
  • 家電量販店などで売られている連動型住宅用火災警報器は、特小自火報の代わりにならない(感知性能などが異なる)
  • 台所には熱感知器を、居室や2㎡以上の押入れ・クローゼットには煙感知器を設置する
  • 感知器はエアコンなどの吹出口から1.5m以上離し、火災時にすべての感知器が連動して鳴るように設定する
  • 建物の電波環境によっては感知器同士の無線通信ができず、使えない場合がある

出典:消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)/消防庁「民泊における消防法令上の取扱い等について」リーフレット(PDF)

誘導灯:条件を満たせば設置を免除できる

誘導灯は、避難口や避難の方向を緑色の灯火で示す設備で、宿泊施設として扱われる民泊では原則としてすべてに必要です。配線工事を伴うため、電気工事士などの資格を持った人でなければ設置できません。電気を使わない誘導標識は、原則として誘導灯の代わりにはなりません。
ただし、建物に不案内な宿泊者でも迷わず避難できる場合は、消防法施行令第32条の特例によって設置を免除できます。消防庁が示している主な免除要件は次のとおりです。

建物主な免除要件
一戸建て(避難階である1階)各居室から直接外に出られる、または廊下に出れば迷わず避難口に着ける簡明な経路であること/建物の窓などの開口部から3m以内を通らずに安全な場所へ避難できること/避難口の案内や避難経路図の掲示をしていること
一戸建て(2階以上)廊下に出れば簡明な経路で階段に着けること/廊下などに非常用照明装置を設けるか、居室に携帯用照明器具(懐中電灯など)を常備していること/避難経路図の掲示などをしていること
共同住宅の住戸民泊を行う住戸の床面積が100㎡以下であること/住戸内の廊下に非常用照明装置を設けるか、各宿泊室に携帯用照明器具を置くこと/すべての宿泊室から直接外部や避難上有効なバルコニーに出られるか、2つ以上の居室を経由せずに玄関に通じる廊下に出られること

廊下などに設ける非常用照明装置は、住宅宿泊事業法第6条にもとづいて設置したもので兼ねられます。住宅宿泊事業法の安全措置と消防の設備を別々に考えず、まとめて計画すると無駄な工事を減らせます。
出典:消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)

消火器・防炎物品・防火管理・点検報告

項目必要になる条件ポイント
消火器建物の延べ面積が150㎡以上、または地階・無窓階・3階以上の階で床面積が50㎡以上業務用のABC消火器を、各階のどこからでも歩行距離20m以下の位置に設置。近くに「消火器」の標識を掲示し、英語やピクトグラムも併記すると親切。共同住宅は通常、廊下などに設置されているため住戸内は不要
防炎物品宿泊施設扱いの部分でカーテン・じゅうたんなどを使う場合防炎性能のある製品を使う。共同住宅で民泊住戸が建物の90%を超える場合は、民泊以外の住戸にも必要
防火管理者・消防計画建物全体の収容人員が30人以上防火管理者を選任し、消防計画を作成して届け出る
点検・報告消防用設備等を設置した場合点検は年2回、消防署への報告は年1回。延べ面積1,000㎡未満の施設(特定一階段等防火対象物を除く)は自分で点検・報告できる

出典:消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)

家主居住型・50㎡以下でも住宅用火災警報器は必要

一般住宅として扱われる場合は、民泊のために新たな消防用設備を設ける必要はありません。ただし、住宅用火災警報器はすべての住宅に必要な設備です。寝室には原則として設置が必要で、寝室の位置によっては階段にも必要になります。市町村の条例で台所などへの設置を求めている地域もあります。
また観光庁は、家主居住型で宿泊室が50㎡以下でも、運用の実態によっては家主不在型や50㎡超として扱われる場合があり、事業者が判断を誤ると消防法違反になる可能性があるとして、消防署への事前相談を勧めています。
出典:消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)/観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)

消防法令適合通知書と届出の流れ

消防法令適合通知書は、管轄の消防署に交付を申請し、立入検査などで消防法令への適合が確認されると交付されます。設備の設置にあたっては、次の届出が必要になる場合があります。

  1. 着工届:消防設備士による工事が必要な設備は、工事着手の10日前までに提出する
  2. 設置届:設置工事が完了した日から4日以内に提出する
  3. 防火管理者選任届・消防計画作成届:建物の収容人員が30人以上の場合に提出する
  4. 防火対象物使用開始届:市町村の火災予防条例で必要とされる場合に提出する(東京消防庁は、新たに民泊を始める場合に届出が必要としている)

消火器や、感知器だけで構成する特小自火報は自分で設置することもできますが、誘導灯や受信機を使う自動火災報知設備の電源工事は電気工事士でなければ行えません。
出典:消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)/消防庁「民泊における消防法令上の取扱い等について」リーフレット(PDF)/東京消防庁「新たに民泊を行おうと考えている皆様へ」

【旅館業法・特区民泊】制度ごとに異なる構造設備の基準

住宅宿泊事業法の年180日の上限にとらわれずに営業したい場合は、旅館業法の簡易宿所営業の許可や、国家戦略特区の特区民泊の認定を受けることになります。これらの制度では「住宅」の要件ではなく、それぞれの構造設備基準を満たす必要があります。

簡易宿所:客室の延床面積と入浴・洗面・便所の設備

旅館業法施行令が定める簡易宿所営業の構造設備基準は、次のとおりです。

  • 客室の延床面積が33㎡以上(宿泊者を10人未満とする場合は、3.3㎡×宿泊者数以上)
  • 階層式寝台(2段ベッド)を置く場合は、上段と下段の間隔がおおむね1m以上
  • 適当な換気、採光、照明、防湿、排水の設備
  • 入浴設備(施設の近くに公衆浴場があるなど、入浴に支障がない場合を除く)
  • 宿泊者の需要を満たす適当な規模の洗面設備
  • 適当な数の便所
  • そのほか都道府県等が条例で定める基準

住宅宿泊事業法では近くの公衆浴場で浴室を代替できませんが、簡易宿所では近くに公衆浴場がある場合などに入浴設備が不要になることがあります。反対に、台所は政令上の要件ではありません。同じ物件でも、制度によって必要な設備が入れ替わる点に注意してください。
旅館業の許可を受ける場合は、建築基準法の用途変更の手続きが必要になることもあります。条例による上乗せ基準も含めて、計画段階で保健所と建築担当の窓口に相談しましょう。
出典:鳥取県「旅館業 構造設備の基準(旅館業法施行令第1条)」(PDF)/厚生労働省「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」

簡易宿所の玄関帳場(フロント)は法令上の義務ではないが、代わりの設備が望ましい

簡易宿所営業には、法令上、玄関帳場(フロント)の設置義務はありません。ただし、厚生労働省の「旅館業における衛生等管理要領」では、玄関帳場等の設置、またはICTを活用した本人確認等のための設備を備えることが望ましいとされています。条例でこれを基準化している自治体もあります。
2025年3月に改正された要領では、玄関帳場の代わりにICTを活用する方法が整理されました。厚生労働省のFAQでは、自動チェックインの際の本人確認の状況や、宿泊者専用区域への出入りの状況の録画について、録画画像を適切に確認できる程度の鮮明さがあれば足り、すでに設置されている防犯カメラでの対応でも差し支えないとしています。厚生労働省は、ICTを活用して玄関帳場等の業務を効率化している事例集も公表しています。
緊急時の体制としては、宿泊者の求めに応じて通常おおむね10分程度で職員等が駆けつけられる体制が想定されています。ただしFAQでは、10分圏内に事務所を置くことを画一的に求める趣旨ではなく、自治体が施設の状況などを踏まえて柔軟に判断してよいこと、事案の内容によってはICTを使った遠隔での対応も差し支えないことが示されています。
この改正を条例に反映する自治体も出ています。たとえば神戸市は2026年4月に条例を改正し、自動チェックイン機器やビデオカメラなどの撮影機器を設置して録画による無人対応ができるよう、基準を明文化しました。
出典:厚生労働省「旅館業における衛生等管理要領の改正(令和7年3月11日付)に関するFAQについて」(PDF)/厚生労働省「簡易宿所営業における玄関帳場等に関する効率化事例集について」(PDF)/神戸市「『神戸市旅館業法の施行等に関する条例』の一部改正の概要」(PDF)

特区民泊:家具や調理器具まで政令で指定

特区民泊(国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業)では、国家戦略特別区域法施行令第13条が、施設の各居室に次の要件を定めています。

項目政令の要件
広さ一居室の床面積が25㎡以上(都道府県知事等が快適な滞在に支障がないと認めた場合を除く)
鍵・区画出入口と窓に鍵をかけられること。出入口と窓を除き、居室と他の居室・廊下などとの境が壁造りであること
環境設備適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房、冷房の設備
水回り台所、浴室、便所、洗面設備
家具・備品寝具、テーブル、椅子、収納家具、調理のために必要な器具または設備、清掃のために必要な器具

住宅宿泊事業法では法令上の指定がない家具や調理器具が、特区民泊では認定の要件になっています。自治体がさらに基準を上乗せしている場合もあり、大阪市のガイドラインでは、台所と洗面設備を別々に設けること、調理器具は電子レンジやコンロなど加温できるものであること、清掃器具として掃除機・雑巾・ごみ箱を備えることなどが示されています。
なお大阪市では、2026年5月29日で特区民泊の新規の認定申請と、居室の追加などの変更申請の受付を終了しました。近隣住民とのトラブルの多発が理由で、今後は旅館業の許可を取って同様の事業を行う事業者が増えると見込み、旅館業の条例についても改正の手続きを進めています(2026年6月にパブリック・コメントを実施)。大阪市でこれから民泊を始める場合は、住宅宿泊事業法か旅館業法のいずれかで設備を整えることになります。
出典:内閣府「国家戦略特別区域法施行令(抄)」(PDF)/大阪市「国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業に関するガイドライン」(PDF)/大阪市「大阪市国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業にかかる区域計画の変更認定について」/大阪市「大阪市旅館業法の施行等に関する条例の一部改正(案)」(パブリック・コメント)

本人確認と宿泊者名簿のために必要な機器

家主不在型や無人運営で見落とされやすいのが、本人確認のための設備です。宿泊者名簿の作成は住宅宿泊事業法でも旅館業法でも義務であり、名簿の正確さを確保するための本人確認には、使う機器の条件が定められています。

住宅宿泊事業法:対面か、条件を満たすICTで本人確認する

住宅宿泊事業者は、宿泊行為の開始までに宿泊者全員の本人確認を行う必要があります。方法は対面か、対面と同等の手段として次の2つをいずれも満たすICTを活用した方法です。

  1. 宿泊者の顔と旅券(パスポート)が画像で鮮明に確認できること
  2. その画像が、事業者や管理業者の営業所、届出住宅内、または届出住宅の近くから発信されていることが確認できること

観光庁は、その例として届出住宅などに備え付けたテレビ電話やタブレット端末による方法を挙げています。本人確認は宿泊者が住宅を使い始める前に行えばよく、住宅に入る直前や入った直後に行う方法でも問題ないとされています。
出典:観光庁「事業者の業務[1]|民泊制度ポータルサイト」/観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)

宿泊者のスマートフォンに頼る運用は原則として認められない

遠隔での本人確認を、宿泊者自身のスマートフォンのビデオ通話だけで行う運用は認められていません。観光庁のFAQは、レンズの破損や充電切れなど管理業者の管理が及ばない要因で業務に支障が出るおそれがあるとして、遠隔で本人確認を行う場合は管理業者が自ら必要な機器を用意し、確実に機能を維持する必要があるとしています。
機器を用意したうえで宿泊者が希望した場合などの特別な場合に限り、顔を十分に判定できる解像度があり、発信場所の位置情報が確認できれば、宿泊者の端末による本人確認も適法とみなされます。つまり無人で運営するなら、施設側に本人確認用の端末を備え付けることが前提になります。
出典:観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)

宿泊者名簿の記載事項と保存

宿泊者名簿には、宿泊者全員の氏名・住所・職業・宿泊日を記載し、日本国内に住所を持たない外国人の場合は国籍と旅券番号も記載します。外国人宿泊者には旅券の呈示を求め、旅券の写しを名簿とともに保存します。名簿は届出住宅または事業者の営業所・事務所に備え、3年間保存しなければなりません。電子データで作成・保管する場合は、紙に出力できる状態にしておく必要があります。
宿泊契約が7日以上の長期滞在では、本人確認をしていない人が泊まっていないかなどを、定期的な面会などで確認することも求められています。
出典:観光庁「事業者の業務[1]|民泊制度ポータルサイト」

旅館業:自動チェックイン機器と録画による確認

旅館業の施設では、前の章で触れたとおり、玄関帳場の代わりにICTを活用する方法が衛生等管理要領で整理されています。厚生労働省のFAQでは、宿泊者が事前に登録した情報と、自動チェックイン機器に示した二次元コードなどの情報を照合する方法が例示されています。日本国内に住所を持たない外国人の場合は、旅券を自動チェックイン機器等に示す必要があります。
出典:厚生労働省「旅館業における衛生等管理要領の改正(令和7年3月11日付)に関するFAQについて」(PDF)

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宿泊者への案内・掲示に必要なもの

設備と並んで準備が必要なのが、法令で求められる掲示物や案内です。紙で備え付けるほか、タブレット端末に表示する方法も認められています。

掲示・案内内容ポイント
標識届出住宅ごとに、住宅宿泊事業の届出をしている旨の標識を掲示する(第13条)休業中や、賃貸で人が入居している間も、事業を廃止しない限り掲示が必要
外国語での案内設備の使用方法、最寄り駅などへの交通手段、火災や地震などの災害時の通報連絡先(消防署・警察署・医療機関・管理業者)「外国語」は予約時に日本語以外の言語として提示した言語。災害時の連絡先はすぐに確認できるように備え付ける
周辺地域への配慮事項の説明騒音の防止、ごみの処理、火災の防止(ガスの元栓の開閉方法、消火器の使い方、避難経路、通報方法など)目につきやすい場所に掲示する。説明に応じない宿泊者に注意を促せるよう、居室内に電話を備え付けるなどの対応が必要
避難経路図現在地、2つ以上の避難経路、消火器や避難器具の位置消防庁のリーフレットが作成・掲示を推奨。玄関ドアなど分かりやすい場所に掲示し、火災時はエレベーターを使わないよう周知する
119番通報の案内住所、建物名・部屋番号、目印になる建物消防庁のリーフレットが掲示を推奨。携帯電話からの通報では位置情報が十分に確認できないことがあるため、電話機の近くや居室内に掲示する

居室内に電話を備え付ける措置は、苦情につながる行為があったときに、宿泊者へすぐ注意できるようにするためのものです。固定電話を引く以外の方法をとる場合は、その方法で足りるかを事前に自治体へ確認しておくと安心です。
出典:e-Gov法令検索「住宅宿泊事業法」/観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)/観光庁「事業者の業務[1]|民泊制度ポータルサイト」/消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)

寝具・浴槽・加湿器の衛生管理

衛生面では、寝具のシーツやカバーなど直接肌に触れるものを、宿泊者が入れ替わるごとに洗濯したものと交換する必要があります。予備のリネンを十分に用意しておかないと、清掃の回転が追いつかなくなります。
また、追い炊き機能付きの浴槽などの循環式浴槽や加湿器を備え付けている場合は、レジオネラ症を防ぐため、宿泊者が入れ替わるごとに浴槽の湯を抜き、加湿器の水を交換するなど、取扱説明書に従った管理が求められます。設備を増やすほど管理の手間も増えるため、備品選びの段階で考えておきましょう。
出典:観光庁「事業者の業務[1]|民泊制度ポータルサイト」

運営に必要な家具・家電・備品のチェックリスト

住宅宿泊事業法や旅館業法では、多くの場合、家具や家電の種類までは法令で指定されていません。ただし宿泊者の満足度やレビューに直結するうえ、消防庁は火気を使う器具や寝具の選び方にも注意を促しています。法令上の設備とは分けて、次のようなリストで準備しましょう。

カテゴリ主な品目選び方のポイント
寝具ベッドまたは布団、枕、シーツ・カバー類(予備を含む)定員は居室面積(1人3.3㎡以上)から逆算する。消防庁は、たばこ火災のリスクを減らすため防炎性能のある寝具を推奨している
家具テーブル、椅子、収納、ハンガー、カーテン宿泊施設扱いの部分のカーテン・じゅうたんは防炎物品にする
キッチン冷蔵庫、電子レンジ、電気ケトル、コンロ、鍋・食器・調理器具消防庁は、火気を使う器具を置く場合は安全装置付きのものを選ぶよう呼びかけている。使い方の注意書きも掲示する
家電・空調エアコン、洗濯機、ドライヤー、掃除機加湿器を置く場合は、宿泊者ごとに水を交換する手間がかかる
消耗品タオル、シャンプー類、トイレットペーパー、ハンドソープ補充のタイミングを清掃のチェックリストに組み込む
通信・案内Wi-Fi、多言語のハウスマニュアル、案内用のタブレット外国語での設備案内や、災害時の連絡先の表示にも使える
鍵・チェックインスマートロックまたはキーボックス、本人確認用の端末本人確認と鍵の受け渡しを一つの流れにまとめると、無人運営が安定する
防災・衛生懐中電灯、救急箱、分別用のごみ箱携帯用照明器具は誘導灯の免除要件になる場合がある。宿泊者のごみは事業者が事業系廃棄物として処理する

鍵の受け渡し方法ごとのメリットと注意点は別記事「民泊の鍵管理とキーボックス」で、家具・家電を含めた開業時の費用は別記事「民泊の初期費用」で詳しく整理しています。
出典:消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)/観光庁「事業者の業務[1]|民泊制度ポータルサイト」

2026年の動き:ICT機器の設置が条例で義務になる可能性

2026年7月15日、観光庁・国土交通省・厚生労働省は自治体に対し、「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言)」を通知しました。条例で民泊の営業を実質的に認めない「ゼロ日規制」を一定の条件のもとで認める考え方と並んで、ICTを用いた管理の義務付けについても考え方が示されています。
観光庁は、民泊施設でICTを活用した管理体制を求める場合の例として、地域の実情などに応じて騒音計や出入口カメラの設置、モニタリング、一定期間のデータ保存などを条例で義務付けることが考えられるとしています。2026年8月には、自治体職員を対象に民泊の管理に使えるICT機器・サービスの説明会を開くため、説明企業の募集も行いました。
今後、民泊の多い地域を中心に、こうした機器の設置を条例で求める動きが広がる可能性があります。これから設備をそろえる場合は、次の点を意識しておくと、後からの追加投資を抑えやすくなります。

  • Wi-Fiや電源の位置を、出入口や共用部に機器を追加しやすい配置にしておく
  • 騒音や出入りのデータを、どこに・どれくらいの期間保存できるかを確認しておく
  • カメラを設置する場合は、撮影範囲を出入口などに限り、宿泊者への告知方法を決めておく
  • 管理業者に委託している場合は、機器の購入費や運用費を誰が負担するかを契約で決めておく

居室内の撮影はプライバシーの面で大きな問題になりうるため、カメラの設置場所や告知の方法は、自治体の条例や指針に従ってください。
出典:観光庁「地方公共団体に対して民泊に関する通知を行いました」(2026年7月15日)/観光庁 報道発表資料「住宅宿泊事業法に規定する届出住宅に係るゼロ日規制等について(技術的助言)」の発出について(PDF)/観光庁「『住宅宿泊事業を対象としたICTによる管理に関する説明会』における説明企業の募集について」

設備の準備で失敗しないための進め方

民泊の設備は、順番を誤ると「契約した物件で必要な工事が想定以上にかかる」「工事をやり直す」といった失敗につながります。次の手順で進めましょう。

  1. 運営形態を決める:制度(住宅宿泊事業法・旅館業法・特区民泊)、家主の在・不在、宿泊室の床面積の見込みを決める
  2. 物件の契約前に事前相談する:消防署、民泊や旅館業の担当窓口(保健所など)、必要に応じて建築担当の窓口に、図面を持って相談する。共同住宅では、建物全体に消防用設備が必要にならないかを必ず確認する
  3. 図面に設備の位置を落とし込む:非常用照明器具、感知器(煙・熱の別)、消火器の位置と歩行距離、避難経路を記載する
  4. 設置工事と消防への届出を行う:着工届・設置届など、必要な届出を提出する
  5. 消防法令適合通知書の交付を受ける:交付申請のあと、消防署の立入検査を受ける
  6. 届出・許可申請を行う:住宅宿泊事業法の届出は、原則として民泊制度運営システムからオンラインで行う
  7. 運営設備と掲示物を整える:本人確認用の端末、鍵、標識、外国語の案内、避難経路図、家具・家電・寝具をそろえる
  8. 開業後も維持管理を続ける:消防用設備の点検・報告、感知器の電池交換、寝具の交換、機器の動作確認を定期的に行う

出典:消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)/観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)/東京消防庁「新たに民泊を行おうと考えている皆様へ」

本人確認と鍵の受け渡しを一体化するセルフチェックイン「maneKEY」

maneKEY(マネキー)は、ホテル・旅館から民泊まで対応するセルフチェックインシステムです。施設に設置した端末で本人確認を行い、鍵の受け渡しや宿泊者名簿の管理までを一つの流れにまとめられるため、家主不在型や無人運営の設備づくりの中心になります。

機能内容設備準備での役割
AIによる本人確認パスポートの自動読み取りと顔認証宿泊者全員の本人確認と旅券情報の記録を、スタッフが現地に行かずに行える
テレビ電話での本人確認有人での確認が必要な場面ではテレビ電話で対応自治体や管理業者のルールに合わせて確認方法を選べる
宿泊者名簿のクラウド管理宿泊台帳とパスポートデータをクラウドに保管名簿の作成・保存の手間を減らし、遠隔から確認できる
スマートロック・キーボックス連携RemoteLOCK、SESAME、SwitchBotなどと連携本人確認が済んだ宿泊者にだけ鍵を渡す流れをつくれる
サイトコントローラー連携Beds24、ねっぱん!サイトコントローラー++などと連携予約情報の転記作業と入力ミスを減らせる
多言語対応日本語・英語・中国語(繁体/簡体)・韓国語外国人宿泊者からのチェックイン時の問い合わせを減らせる
コールセンター代行(オプション)チェックイン時の本人確認をスタッフがテレビ電話で代行自社で待機体制を組まずに有人の確認を用意できる

施設側に備え付けた端末で本人確認を行う仕組みのため、観光庁がICTによる本人確認の例として挙げる「届出住宅などに備え付けたテレビ電話やタブレット端末」を使った運用を組み立てやすくなります。実際に採用する確認方法は、管轄の自治体や委託先の管理業者と事前にすり合わせてください。
料金は、利用件数に応じた従量課金制と、部屋数に応じた月額固定制から選べます。年180日の上限があり稼働の波が大きい民泊なら従量課金制、通年で稼働が安定している施設なら月額固定制、という選び方ができます。具体的な料金や導入の流れは資料でご確認ください。

民泊の設備に関するよくある質問

Q. キッチンは電子レンジだけでも届出できますか?

できません。住宅宿泊事業法の「台所」にはシンク(流し台)が必要で、観光庁は電子レンジを置くだけでは居住にふさわしい設備とはいえないとしています。

Q. 浴槽がなくシャワーだけの物件でも民泊はできますか?

住宅宿泊事業法では、浴槽がなくてもシャワーがあれば浴室の要件を満たします。ただし、近くの銭湯などで代替することはできません。旅館業法の簡易宿所では、近くに公衆浴場があるなど入浴に支障がない場合に、入浴設備が不要になることがあります。

Q. 家電量販店の連動型火災警報器で、自動火災報知設備の代わりになりますか?

なりません。家電量販店などで売られている連動型住宅用火災警報器は、特定小規模施設用自動火災報知設備とは感知性能などが異なり、代わりに使うことはできません。購入前に、特小自火報の感知器として販売されている製品かどうかを確認してください。

Q. 自宅の一部を貸す家主居住型でも、消防設備の工事は必要ですか?

家主が不在にならず、宿泊室の床面積の合計が50㎡以下であれば、消防法上は一般住宅として扱われ、住宅宿泊事業法の非常用照明器具も原則不要です。ただし、住宅用火災警報器の設置と避難経路の表示は必要で、一戸建てや長屋では建物の規模に応じた措置も確認が必要です。運用の実態によって扱いが変わることもあるため、消防署に事前相談してください。

Q. 部屋ごとに鍵を付ける必要はありますか?

住宅宿泊事業法では、部屋ごとに施錠できることは必須ではありません。一方、特区民泊では、居室の出入口と窓に鍵をかけられることが政令上の要件です。住宅宿泊事業でも、複数のグループを別々の部屋に泊める場合は、トラブル防止のための鍵に加えて、防火の区画等の措置が必要になります。

Q. 防犯カメラは設置したほうがいいですか?

旅館業の施設では、出入りの状況を録画で確認する方法が玄関帳場の代わりとして整理されており、既存の防犯カメラで対応できる場合もあります。住宅宿泊事業でも、2026年7月の国の通知で、出入口カメラの設置などを条例で義務付けることが考えられるとされました。設置する場合は、撮影範囲を出入口などに限り、宿泊者に告知するなどプライバシーに配慮してください。
出典:観光庁「住宅宿泊事業法 FAQ集(令和3年3月12日時点版)」(PDF)/観光庁「対象となる住宅|民泊制度ポータルサイト」/鳥取県「旅館業 構造設備の基準(旅館業法施行令第1条)」(PDF)/消防庁・住宅宿泊協会「民泊を始めるにあたって」(PDF)/内閣府「国家戦略特別区域法施行令(抄)」(PDF)/厚生労働省「旅館業における衛生等管理要領の改正(令和7年3月11日付)に関するFAQについて」(PDF)/観光庁「『住宅宿泊事業を対象としたICTによる管理に関する説明会』における説明企業の募集について」

まとめ

民泊に必要な設備は、「制度の要件として必須の設備」「建物と運営形態によって必要になる安全設備」「本人確認と運営のための設備」の3つに分けて考えると整理できます。住宅宿泊事業法なら台所・浴室・便所・洗面設備の4つが前提で、簡易宿所や特区民泊ではそれぞれの構造設備基準を満たす必要があります。
費用を大きく左右するのは、家主が不在になるかと宿泊室の床面積の合計が50㎡を超えるかです。どちらかに当てはまると、非常用照明器具や自動火災報知設備、誘導灯などが必要になり、共同住宅では建物全体に影響することもあります。物件を契約する前に消防署と自治体へ相談することが、設備で失敗しないための最大のポイントです。
2026年は、ICT機器による管理を条例で求められる可能性も出てきました。本人確認の端末や鍵の仕組みも含めて、今後のルール変更に対応できる設備を選んでおきましょう。

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参考・出典一覧

本記事の法令・制度に関する記述は、以下の国および自治体の公式資料にもとづいています。

法令

観光庁・国土交通省

消防庁・消防本部

厚生労働省

自治体

※本記事は2026年10月時点で公開されている情報にもとづいて作成しています。必要な設備は、建物の構造・規模や運営形態、各自治体の条例によって異なります。住宅宿泊事業法・旅館業法・消防法令および各自治体の条例は改正されることがあるため、実際の工事や手続きにあたっては、管轄の消防署・自治体窓口と最新の公式情報をご確認ください。