民泊を運営することは魅力的な収入源であり、異文化交流の機会を提供しますが、デメリットもあります。具体的には、物件管理や清掃、法的規制への遵守、近隣トラブルへの対応など、日常業務に加え、プライバシーの懸念やコンプライアンスの問題などです。この記事では、民泊経営の魅力とデメリットについて解説します。
民泊を運営するメリット
民泊を運営することには、以下のように複数のメリットがあります。
- 初期投資が少ない
- 使っていない不動産を収入源にできる
- 届出により開業できる
- 住居専用地域でも営業できる
- さまざまなゲストと交流できる
- 将来民泊物件として売却できる
- 地域活性化に貢献できる
初期投資が少ない
民泊を経営するメリットのひとつとしてあげられるのが、初期投資が少ないことです。民泊を始める際にかかる初期費用としては、物件、消防設備、家具家電、リネンや清掃設備などの準備費用が挙げられます。また、民泊を開業するために行政に届出をする際には、3万円程度の申請費用が必要です。
しかし、ホテルや旅館を開業する場合に比べると、初期投資が少なく済むのが魅力です。物件の賃貸料にもよりますが、東京都の物件を利用する場合で総額45万円程度から始められ、初期投資が比較的少ないと言えます。
使っていない不動産を収入源にできる
メリットとしてはほかにも、空き家・空き部屋を有効に活用して収入が得られる点が挙げられます。
不動産を維持するためには管理費用や税金がかかります。使っていない不動産がある場合は、民泊として活用することで収入源にするのが効果的です。
また、民泊は日本の空き家問題の解決策としても注目されています。日本では、人口の減少や少子高齢化によって、有効な活用法が見つからないまま放置されている空き家が増えています。この空き家を民泊として有効に活用することで、空き家問題を解決できる可能性があるのです。
届出により開業できる
届出により開業できるのもメリットです。
民泊業界の規制を整備し、適切な運営を促進するために設定された民泊新法(住宅宿泊事業法)では、その一部として規制緩和が含まれています。民泊新法が適用される民泊は、都道府県へ届出を申請すれば開業できます。この届出は「何か事件が起こった際に行政側が把握できるように必要なもの」のため、基本的に却下されることはありません。
一方、ホテルや旅館は都道府県に許可申請を行い、許可を取得しなければ開業できません。許可申請は却下される可能性が高く、許可の取得は容易ではありません。
このように、届出により開業できる民泊の開業ハードルは、ホテルや旅館に比べると低いと言えます。
住居専用地域でも営業できる
住宅専用地域でも民泊を営業できるのもメリットです。
旅館業法では宿泊施設を営業できるエリアに制限があり、相続した実家や別荘を宿泊施設として活用したい時には、この制限が壁になる場合があります。しかし、民泊の場合は旅館業法が適用されないため、住宅専用地域でも営業できる点が長所です。
ただし、自治体によっては開業できるエリアに制限がある場合もあるため、詳しくは各市区町村に確認してください。
さまざまなゲストと交流できる
国内外から来たさまざまなゲストと交流できるのも、民泊運営の醍醐味です。
民泊は、日本人だけではなく海外の方も多く利用します。他県の方との交流や、海外の文化を知ることに魅力を感じて民泊運営の事業を始める方も少なくありません。普段は関わることのない国や地域の方と交流すれば、新たな視点を得られるだけでなく、地域や文化の理解を深め、豊かな体験を共有できます。
将来民泊物件として売却できる
民泊は、民泊事業をやめる場合やほかに資金が必要となった際、民泊物件として売却できます。民泊の運営実績がよい場合は、M&Aで事業ごと物件の売却が可能です。利益の1〜3年分の価格で売却できるケースが多く見られます。
空港や駅から近いなど立地がよかったり、おしゃれできれいにリノベーションされていたりする物件は特に興味を持たれやすく、売却時の大きなアピールポイントになるでしょう。
地域活性化に貢献できる
民泊を利用するゲストは、日本人・外国人を問わず、その地域で食事や観光をし、おみやげを買うなど、確実に経済効果を生んでいきます。地域に民泊があり、その民泊を利用するゲストが増えれば、地域の活性化や地方創生の貢献に繋がります。
民泊を運営するデメリット
一方、民泊の運営には以下のようなデメリットもあります。
- 営業日数に180日間の制限がある
- 管理に手間がかかる
それぞれ見ていきましょう。
営業日数に180日間の制限がある
民泊の運営には民泊新法が適用されますが、この法律では年間宿泊日数が180日に制限される点に注意が必要です。180日を超えて営業したい場合は、ホテルや旅館として開業しなければなりません。
民泊は1年の約半分しか営業できないため、夏や冬の長期休みなど宿泊客が増えやすい時期に営業したり、地域の選定、コンセプトの企画、SNSを利用した広告運用など集客に工夫をしたりなど効率的に収益をあげる工夫が求められます。
管理に手間がかかる
民泊はさまざまなゲストを迎え入れるため、ゲストによる不注意や故意などで物件を汚されたり壊されたりするリスクがともなう点が短所です。またチェックアウト後の施設の掃除やリネンの交換、鍵の受け渡し、問い合わせへの対応など、運営中に必要な業務は思っているより多いのが実情で、管理に手間がかかります。
民泊運営における課題・注意点
民泊を運営する際は、以下の点に注意しましょう。
- 文化の違いに配慮する
- 近隣住民から理解を得る
- チェックイン・チェックアウト時間を遵守させる
- 安全面に配慮する
それぞれ解説します。
文化の違いに配慮する
民泊を運営するうえでは、特に文化の違いに配慮することが必要です。
民泊は外国人観光客の利用も多いため、それぞれの国では何が「普通」で、日本とどう違うのかに配慮する必要があります。例えば、備品を持ち帰ってもよいと勘違いされたり、ごみを分別されないまま放置されてしまったりする可能性があります。
また、海外旅行の楽しさから羽目を外して騒いでしまい、近隣の住民とトラブルになるかもしれません。これは外国人観光客だけでなく国内の遠い地域から訪れた利用客にも同じことが想定できますが、こうした異なる文化に基づく考え方、当たり前の違いに配慮した対応が必要になります。
近隣住民から理解を得る
近隣住民から民泊運営について理解を得られるよう注意しましょう。
利用客が夜間に大勢で騒ぐ、ごみの処理が不適切であるなどのトラブルが発生すると、近隣住民から苦情がくる可能性が否定できません。
トラブルを防ぐためには、利用客に気をつけて欲しい点をあらかじめ注意喚起しておく、細かいルールを作成するなどの対策を行い、近隣住民から理解を得られるようにしましょう。
チェックイン・チェックアウト時間を遵守させる
利用客にはチェックイン・チェックアウトの時間を遵守させる必要があります。
利用客がチェックイン・チェックアウトの時間を守らない場合、次の利用客のための準備が遅れたり、施設管理者のスケジュールを変更する必要が出てきたりします。特に、施設管理者が不在で完全無人運営を行っている民泊では、利用客が時間を守らないトラブルが多くなりがちです。民泊清掃代行会社にチェックアウト後の清掃を委託していても、清掃時間にチェックアウトされておらず、部屋に入れないため清掃作業がキャンセルになってしまう場合もあります。
安全面に配慮する
安全面への配慮も欠かせません。
民泊はホテル・旅館とは異なる宿泊形態のため、利用客に危険に思われて敬遠されたり、女性客がトラブルに不安を抱えやすかったりする可能性があります。
安全面に配慮してセキュリティ体制を整え、それをアピールして宿泊への不安を払拭することが大切です。
民泊運営を成功させるポイント
最後に、民泊運営を成功させるための4つのポイントを紹介します。
- ハウスルールを細かく作成する
- 民泊運営代行サービスを利用する
- 民泊保険に加入する
- IT化を進める
ハウスルールを細かく作成する
1つ目は、ハウスルールを細かく作成することです。
日本で生活している方には当たり前のことでも、外国人観光客には分からないことが多いものです。外国人観光客の利用も多い民泊では、このような場合に備えてハウスルールを作成しましょう。日本語・英語・韓国語・中国語など多言語で記載し、イラストや写真を交えてわかりやすくするとよいでしょう。
静かに過ごす時間帯や禁煙の指示、ゴミの分別方法、備品の使用方法など宿泊のためのルールを細かく記載します。作成したハウスルールは玄関やリビング、寝室に掲示すれば目につきやすくなり、トラブルを未然に防げます。
民泊運営代行サービスを利用する
2つ目は、民泊運営代行サービスを利用することです。
民泊運営は必要な仕事が非常に多く、副業感覚で行う場合には本業に支障が出る可能性もあります。民泊運営代行サービスに業務を委託すれば、自分は本業に注力でき、また民泊運営のノウハウで利益の最大化が狙えます。
さらに民泊運営代行会社は民泊運営におけるトラブルを多く経験しているため、トラブルに対してスムーズに対応してくれる可能性も期待できます。
民泊保険に加入する
3つ目は、民泊保険に加入することです。
民泊保険とは、宿泊中の事故やゲストによる物損、第三者への損害賠償などをカバーしてくれるものです。
事前に対策していても、予測できない事故やトラブルは発生します。民泊保険に加入することで、万が一のトラブルにも万全に対応でき、安心して民泊を運営できるのが魅力です。
IT化を進める
4つ目は、IT化を進めることです。IT化により、民泊運営の無人化・省人化が実現し、効率よく経営を進められます。
民泊におすすめのITシステムとしては、セルフチェックインシステムやスマートロックが挙げられます。
セルフチェックインシステムとは、宿泊客自身が端末を操作することで、自動でチェックイン・チェックアウト手続きを済ませられるシステムです。フロント業務の効率化を実現できます。
そして、スマートロックはアプリや暗証番号などを利用して施錠・解錠できるシステムです。鍵本体がなくても鍵を開け閉めできるため、鍵の紛失や複製といったリスクを防げます。鍵を渡すためにわざわざスタッフを配置する必要もありません。
セルフチェックインシステムの中には、スマートロックと連携してチェックインから鍵の受け渡しまでを無人化できるものもあります。
民泊の無人運営を実現したい方は、これらのシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
セルフチェックインシステムを導入したい方におすすめなのが「maneKEY(マネキー)」です。
maneKEYは、多言語やキーレスに対応できる便利なセルフチェックインシステムです。AIが自動で本人確認を実施し、スマートロックと連携すれば、チェックイン手続きから鍵の受け渡しまでを自動化できます。また、日本語、英語、繁体中国語、簡体中国語、韓国語に対応しており、インバウンド需要にも万全に対応できるのが魅力です。さらに、宿泊台帳やパスポートデータがクラウド上に保管されるため、台帳管理のために場所を確保する必要もありません。
IT化を進めて民泊運営をより効率化したい方は、以下よりお問い合わせください。