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ホテルの求人広告の書き方は?法律に則った書き方とコツを解説!

コラムホテル経営

ホテル経営において、人材の獲得は非常に重要です。優秀な人材を集めるためには、求人広告の書き方を工夫する必要があります。今回は、ホテル業界における求人広告の書き方と、魅力的な求人広告を出稿するポイントについて解説します。求人広告の書き方に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

ホテルの求人広告とは

仕事探し
ホテルの求人広告とは、自社の募集要項(業務内容・人物像・給与・福利厚生など)を記載し、求人サイトや採用ホームページ上などに掲載したものです。求職者は、求人広告を見て応募するかを決めます。つまり、求人広告の書き方次第で応募者数が増えると言っても過言ではありません。

ホテルの有効求人倍率

マイナビキャリアリサーチLabの調査によると、2023年9月時点の宿泊業・飲食サービス業の有効求人倍率は1.29倍でした。新型コロナウイルスの影響で2020年から低下していましたが、求人数が回復して有効求人倍率も増加傾向にあるとのことです。

今後有効求人倍率がますます増加すれば、その分人材獲得競争も厳しくなると考えられます。必要な人材を獲得するためには、適切な求人広告で人を惹きつけることが大切です。

出典:マイナビキャリアリサーチLab「マイナビキャリアリサーチLab宿泊業レポート(2023年11月)」

求人広告の掲載先

求人広告の掲載先のことを求人媒体と呼びます。

求人媒体には、業界業種問わずさまざまな求人が掲載される総合型求人媒体や、特定の業種に特化したサイト、ダイレクトリクルーティングサービスなどがあります。幅広い層を獲得したい場合は総合型求人媒体、ホテル業界に関心がある層にアプローチしたい場合は特化型、のように使い分けられます。

料金形態も求人媒体によってさまざまです。無料で掲載できるものもあれば、月々一定の料金を支払うもの、その媒体から応募があった際に成果報酬を支払うものなどがあります。

求人広告の書き方

パソコンを操作する女性
ホテルの求人広告には、すべての情報を掲載できるわけではありません。求人サイトによっては、文字数や画像などに制限がある場合もあります。また、求人広告が長すぎると、要点が伝わらなかったり最後まで目を通してもらえなかったりするでしょう。

ここでは、求人広告を書く際のステップを紹介します。

  1. 採用するターゲットを決める
  2. 伝えたいメッセージを整理する
  3. 必要事項を記載する
  4. 魅力をアピールできる文章を追加する

1.採用するターゲットを決める

まずは採用するターゲットを決めましょう。採用するターゲットを明確にすることで、求人広告に記載する要件が書きやすくなります。求人広告に載せる情報も選びやすくなるでしょう。
採用するターゲットを決める際は、採用担当者だけで考えるのではなく、必ず社内でミーティングをし、どの部署にどのような人材が欲しいのか、人材要件を洗い出すことが大切です。
また、ターゲットは「明るい人」「真面目な人」のような曖昧なものではなく、「〇〇の経験が〇年以上ある」「〇〇の資格を保有している」のように、具体的に定めましょう。

2.伝えたいメッセージを整理する

次に、採用ターゲットに向けて求人広告で伝えたいメッセージを整理します。
ここで伝えるメッセージは、求人タイトルやキャッチコピーなど、求職者を惹きつけるために重要な要素になるため、時間をかけて言葉を選ぶことが大切です。自社の経営理念や事業戦略、働く環境としての魅力などを洗い出し、メッセージを考えましょう。
メッセージを決めるにあたって、同業他社のキャッチコピーをリサーチすることもおすすめです。他社をリサーチすることで、良い部分を参考にできたり、他社にない要素を追加できたりします。

3.必要事項を記載する

求人広告には、法律に基づいて必要事項を抜け漏れなく記載しなければなりません。

改正職業安定法では、求人募集を行う際は以下の項目を記載することが義務付けられています。

  • 業務内容
  • 契約期間
  • 試用期間
  • 就業場所
  • 始業・終業の時刻
  • 時間外労働の有無
  • 休憩時間
  • 休日
  • 賃金
  • 加入する保険
  • 労働喫煙防止措置
  • 募集者の氏名または名称(株式会社〇〇など)
  • 派遣労働者として雇用する場合はその旨を記載

出典:厚生労働省「労働者の募集ルールが変わります」

上記の事項を記載する際は、虚偽の表示や誤解を生じさせる表示にならないよう注意が必要です。 たとえば、アルバイトを募集する求人であるにもかかわらず「正社員募集」と記載したり、職種について実際の業務内容とは大きく乖離した内容を記載したりしてはいけません。

また、求人広告に記載する情報は常に最新の状態になるようにしましょう。

4.魅力をアピールできる文章を追加する

必要事項を記載したら、魅力をアピールできる文章を適宜追加しましょう。仕事のやりがいや業績、実際の社員のコメントなどを記載して、応募したくなるような求人広告を作成することが大切です。

ホテルの求人広告を作成する際のポイント

パソコンを笑顔で操作する女性
ホテルの求人広告を作成する際は、以下のポイントを重視しましょう。

  • 働くメリットをアピールする
  • 人物像を具体的に記載する
  • 適切な媒体に求人広告を記載する

 

それぞれ解説します。

働くメリットをアピールする

求人広告では、必要事項を淡々と記載するだけではなく、働くメリットをアピールすることが大切です。
たとえば、開業したばかりのホテルであれば「一人ひとりの裁量が大きい」、研修制度が整っているホテルであれば「業界未経験者でも着実にスキルを身につけられる」などがあります。福利厚生の手厚さに自信がある場合は、「特別休暇(アニバーサリー休暇やイベント休暇など)を利用できる」「資格取得手当が充実している」などの要素があります。
他社とは違う独自性のあるメリットをアピールし、競合と差別化しましょう。

求める人物像を具体的に記載する

求人広告には、自社が求める人物像を具体的に記載しましょう。

人物像は、必要条件と歓迎条件に分けて記載するのがおすすめです。

必要条件とは、「これだけは満たしていないと選考にエントリーできない」という条件です。たとえば、「大卒以上」「経理経験◯年以上」などがあります。

歓迎条件は、「必ずしも満たしている必要はないが、満たしていると選考で有利になる」という条件です。たとえば、「日常会話レベルの英語が喋れる」「ホテルビジネス実務検定試験に合格している」などが挙げられます。

求める人物像を明確に記載することで、自社の業務に必要な人材を多く集められる可能性が高まります。

適切な媒体に求人広告を掲載する

欲しい人材を獲得するためには、ターゲットに合った適切な媒体に求人広告を掲載する必要があります。
代表的な求人媒体は以下のとおりです。

  • 求人サイト・求人エンジン
  • 自社メディア・SNS
  • 紙媒体

それぞれ解説します。

求人サイト・求人エンジン

求人サイト・求人エンジンは、他社が運営しているサイトに求人情報を掲載し、オンラインで求職者からの応募を待つ方法です。
求人サイトや求人エンジンのメリットは、多くの求職者が目にするため、求職者を集めやすい点です。また、求職者が条件を絞って検索できるため、条件を満たす求職者に出会いやすいというメリットもあります。

自社メディア・SNS

近年では、自社でメディアやSNSを運営し、求人広告を出稿するという方法も多く利用されています。
求人サイトや求人エンジンに比べるとアプローチできる人数は少ないものの、自社に興味がある求職者からの応募が期待できるのがメリットです。また、自社で運営するため、出稿料や成果報酬などを支払わなくてよいというメリットもあります。

紙媒体

紙媒体に掲載するのも1つの方法です。駅やコンビニに置かれている求人情報雑誌や、新聞の折込チラシなどに求人広告を掲載できます。
紙媒体を使うメリットは、配布エリアが限られているため、特定の地域にアプローチできることです。また、たまたま雑誌やチラシを目にした方から応募してもらえる可能性もあります。

特に、ある程度年齢層の高いターゲットからの応募を集める際に非常に効果的です。

ホテルの求人広告を作成する際の注意点

スマホを操作する女性
以下では、ホテルの求人広告を作成する際の注意点を解説します。

  • 関連する法律を理解する
  • 求める人物像は書きすぎない

関連する法律を理解する

求人広告を作成する際は、関連する法律を理解する必要があります。

特に、職業安定法と男女雇用機会均等法について理解しましょう。

「職業安定法」では、虚偽の表示・誤解を生じさせる表示をしてはならないとされています。また、以下の措置を行い、求人情報を正確・最新の内容に保たなければなりません。

  • 募集を終了・内容変更したら、速やかに求人情報の提供を終了・内容を変更する。
  • 求人メディア等の募集情報等提供事業者を活用している場合は、募集の終了や内容変更を反映するよう依頼する。
  • いつの時点の求人情報かを明らかにする。
  • 求人メディア等の募集情報等提供事業者から、求人情報の訂正・変更を依頼された場合には、速やかに対応する。

出典:厚生労働省「職業安定法 改正のポイント」

「男女雇用機会均等法」では、採用判断の際は男女どちらかを優遇してはならず、求人広告にも差別するような内容を掲載してはいけないとされています。特定の性別の応募を歓迎するような文言を記載することはできません。
また、性別を限定するような表現を記載することもNGです。具体的には、以下のように表記を修正しましょう。

  • ホテルマン→ホテリエ
  • 営業マン→営業担当者、営業職
  • ウェイター→ホールスタッフ

そのほか、年齢や性格、心身の特性などで応募者を絞ることも認められていません。
出典:e-Govポータル「雇用環境」

求める人物像は書きすぎない

求める人物像を記載することはスクリーニングのうえで重要ですが、条件を書きすぎないよう注意しましょう。必要条件を多く記載すると、その分応募できる人材が限られてしまい、十分な応募が集まらなくなる恐れがあります。
自社が求める条件を完全に満たした人材を集めることは難しいです。採用後に身につけられるスキルは条件から除外する、必要条件は最低限にして歓迎条件を多く記載する、など工夫しましょう。

適切な求人広告で人材を獲得しよう

2人のビジネスパーソン
今回は、ホテルの求人広告の書き方について解説しました。求人広告を掲載する際は、関連する法律に則ったうえで、自社の魅力を伝えられるよう書き方を工夫することが大切です。

ホテルの人材不足に悩んでいる場合は、求職者を増やす取り組みだけではなく、業務効率化のための施策にも取り組みましょう。

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