ホテル経営において、資金繰りは非常に重要です。たとえ黒字であっても、資金繰りが悪化してしまうと倒産に追い込まれる可能性があります。「気づいたときには資金繰りが悪化していた」という事態を避けるためには、資金繰りが悪化する原因を理解し、日頃から気にかけることが大切です。
今回は、ホテル創業時に資金繰りが悪化してしまう原因を紹介します。
そもそも資金繰りとは
そもそも資金繰りとは、収入と支出を管理し、過不足を調整することです。
ホテルを経営するうえでは、仕入先や取引先、従業員などに対して、さまざまな費用を支払う必要があります。金融機関からの融資や投資家からの出資を受けている場合は、その返済も必要です。支払いに対応するためには、日頃から収入と手持ちの資金を管理しなければなりません。
資金には、現金や預金、公社債投資信託などがあります。会社が保有しており、すぐに支払いに利用できるものです。
資金繰りが悪化する原因
資金繰りの悪化というと、業績の悪化をイメージする方は多いでしょう。しかし、実は複数の要因があり、業績が悪くなくても資金繰りが悪化する可能性は十分にあります。
まずは資金繰りが悪化する原因を理解し、事前に対策を講じることが大切です。
ここでは、資金繰りが悪化する原因を紹介します。
- 赤字状態が続く
- 売上が大幅に減った
- 過剰な設備投資を行ってしまう
- 支払いと回収にタイムラグが生じている
- 売掛債権の貸倒が発生した
- 借入金の返済額が積み重なっている
1.赤字状態が続く
当然ですが、収入より支出が多い赤字状態が長く続いていると、資金不足に陥ってしまいます。
一時的に赤字になったからといって、すぐに資金不足になるわけではありません。しかし、赤字状態が長く続くと、手元の資金がどんどんなくなり、最終的に支払いができなくなってしまいます。
2.売上が大幅に減った
何らかの原因で売上が大幅に減った場合も、資金繰りの悪化につながります。
ホテル経営では固定費負担が大きいため、たとえ売上が減少した月も、変わらずに固定費を支払い続けなければなりません。
売上の減少には、景気の悪化や取引先の経営悪化などさまざまな要因があるため、自社では防ぎきれない可能性もあります。
3.過剰な設備投資を行ってしまう
過剰な先行投資も資金繰りが悪化する一因です。設備投資はホテル経営において欠かせませんが、投資のために借り入れを行った場合は、借入金の返済が経営を圧迫する恐れがあります。一定の売上が確保できていても、返済額が大きく支出が多ければ、運転資金に余裕がなくなってしまうのです。
4.支払いと回収にタイムラグが生じている
売上が手元に入ってくるタイミング(回収)よりも支払い時期が早い場合は、注意が必要です。財務上は黒字であっても、手元の資金が不足しているため支払いができない、という可能性があります。
特に、繁忙期と閑散期の差が激しいホテルは注意が必要です。たとえば、繁忙期が夏休み期間である場合、7〜9月ごろに多くの売上が入ってきます。しかし、毎月の固定費や設備投資費用の支払いなどは、閑散期も必要です。繁忙期を迎える前に資金がショートして支払いができなくなると、資金繰りが悪化してしまうのです。
また、将来的な売上の大幅増加を見込み、事前に設備投資を強化する場合も注意しましょう。「将来売上が増えるから大丈夫」と楽観的に考えるのではなく、売上が入ってくるまでの期間を計算し、問題なく費用を支払えるかを検討したうえで、設備投資を実行しなければなりません。
5.売掛債権の貸倒が発生した
取引先が倒産し、売掛債権の貸倒が発生する可能性もあります。貸倒とは、貸したお金が支払われない、あるいは商品の売上代金が支払われないまま相手方が倒産してしまうことです。
貸倒は自社では防ぎきれない問題です。取引の前には入念に与信審査を行い、万が一貸倒が発生するリスクに備えて、対処法を検討しておく必要があります。
また、消費者を相手にすることが多いホテルでは、キャンセル代金の回収に注意しましょう。直前や当日などに宿泊予定客がキャンセルした際、宿泊代金の全額、あるいは一部の支払いを義務付けているホテルは多いでしょう。支払われないまま、宿泊予定客と連絡がつかなくなることもあるため、注意が必要です。
6.借入金の返済額が積み重なっている
借入金の返済額が積み重なり、資金繰りが悪化することもあります。
目安としては、返済額が減価償却費+税引後純利益をオーバーすると、資金繰りが悪化しやすいとされています。
特に、開業時の融資には注意が必要です。収支計画を立てたうえで、利子や返済期間、毎月の返済額などを考慮し、無理なく支払える融資制度を利用しましょう。返済が必要ない補助金制度や助成金制度を活用するのもおすすめです。
ホテル経営者には資金繰りの管理が必須
資金繰りの悪化には、上記のようにさまざまな原因が挙げられます。
資金繰りの悪化を防ぐためには、経営者が日頃から資金繰りを徹底することが大切です。資金不足の予兆に気づくことができれば、取引先に支払い時期を交渉したり、支出を減らす取り組みを事前に講じられたりと、対策ができます。
資金繰りは、気づいた時には大幅に悪化していた、というケースが多いです。悪化の予兆を見逃さないよう、日頃から管理を行いましょう。
コストカットにはセルフチェックインシステムがおすすめ
ホテル経営にかかるコストを削減するためには、セルフチェックインシステムの活用がおすすめです。
セルフチェックインシステムとは、宿泊客自らチェックインを行えるシステムのことです。
サービスによって違いはありますが、宿泊者に事前にQRコードが発行され、チェックイン時にコードを専用の端末にかざすことで、自動でチェックインが完了します。
セルフチェックインシステムがあれば、宿泊客が24時間自分でチェックインできます。そのため、フロントに常時複数のスタッフを配置する必要がなくなり、人件費を削減できるのです。
また、多言語対応しているセルフチェックインシステムであれば、海外からの観光客にも対応できます。外国語に堪能なスタッフを確保するのは難しいため、インバウンド需要に対応したい方にもおすすめです。
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