コラム, ホテル経営

客室稼働率(OCC)とは?計算式やADR・RevPARの関連性、向上戦略を徹底紹介

コラムホテル経営

ホテルなど宿泊ビジネスでは、収益の最大化や安定した集客を通して経営を続けるために、データに基づいた戦略を立てることが重要です。
戦略を立てるためのデータとして多くの経営者が利用しているのが、客室稼働率(OCC)です。
本記事では客室稼働率(OCC)の計算式や具体例と併せて、同じく戦略データとしてよく利用されるADR、RevPARとの関連性や使い方を紹介します。

客室稼働率(OCC)とは


客室稼働率(OCC)は、ホテルや宿泊施設が持つ全ての客室に対して、実際に利用されている客室がどの程度であるかを示す割合です。
稼働率の過剰な低下は施設の収益性に影響を及ぼす可能性があります。
この指標は、単に収益を分析するだけでなく、市場の需要や競争力、そして経営効率を包括的に示すために活用されます。

OCCの計算方法と具体例

客室稼働率(OCC)の計算方法は、以下の通りです。

  • 稼働した客室数 ÷ 総客室数

例えば、100室あるホテルにおいて70室が利用された場合、客室稼働率は70%となります。

客室平均単価(ADR)とは


客室平均単価(ADR)は、1部屋あたりの平均宿泊単価を示す指標です。
客室平均単価を算出し売上データを詳細に明確化することで、現在の料金設定による収益性が適切であるかを評価したり、将来的な価格設定を決定する際の基準にしたりすることができます。

ADRの計算方法と具体例

客室平均単価(ADR)の計算方法は、以下の通りです。

  • 売上の合計金額 ÷ 売れた客室数

例えば、あるホテルが50部屋を1泊あたり10,000円で販売した場合、総売上は500,000円となり、客室平均単価(ADR)は500,000 ÷ 50 = 10,000円になります。

RevPARとは


RevPAR(レヴパー)はRevenue Per Available Roomの略で、いかに効率的に収益を上げられているかを評価する指標です。
現時点でホテルの売上が最大化する部屋の適正価格を知ることができます。

たとえば、稼働率70%で客室平均単価が10,000円のホテルでは、RevPARは7,000円となります。
これはそのホテルの全室を7,000円で販売すると、収益性が最大になることを表しています。
このように、RevPAR(レヴパー)を利用すればホテルの収益性を一目で理解できます。

RevPARの計算方法と具体例

RevPAR(レヴパー)の計算式は以下の2通りあります。

  • 売上の合計金額÷全ての部屋数

例えば、あるホテルの1日あたりの総売上が100万円、総客室数が50室である場合、RevPARは100万円を50室で割ることにより計算され、2万円となります。
つまりこのホテルの収益を最大化するためには、現時点では全室を2万円で売るのが適正となります。

  • 客室平均単価(ADR)× 客室稼働率(OCC)

例えば、客室平均単価(ADR)が1万円で、客室稼働率(OCC)70%の時、RevPAR(レヴパー)は7,000円となります。
この場合、ホテルの収益を最大化するためには、現時点では全室を7,000円で売るのが適正となります。

OCC、ADR、RevPARの関連性と役割


OCC、ADR、RevPARはいずれもホテルの経営分析に必要な重要な指標です。
OCCはホテルの稼働率を示し、提供される客室全体のうち実際に活用された割合を表しています。
ADRは1泊あたりの客室販売価格の平均値を算出するのに使用されます。
一方、RevPARはADRとOCCを掛け合わせ、ホテル全体の収益効率を評価する指標です。
これらの指標は互いに密接な関連性を持ち、各指標の変動が他の数値や運営戦略に影響を及ぼします。
このように3つの指標を総合的に用いることで、ホテルの収益性向上や効率的な経営戦略の策定を支援します。

客室稼働率を向上させる戦略


ホテルの収益性を最大化するためには、データを元に適切な価格で客室を販売し、稼働率を高めることが重要です。
OCC、ADR、RevPARの数値を確認したら、これらを改善、向上させるための戦略を考えましょう。

  • 料金設定と価格戦略の見直し
  • プロモーションとマーケティングの強化

料金設定と価格戦略の見直し

ホテル業界では、客室の料金を適正に調整することで市場での競争優位性を保つことができます。データでの数値確認を行いながら需要を予測し、適宜価格を見直しましょう。
ホテルの需要を予測しながら料金の調整を行うことは、客室稼働率を最適化するための重要な戦略です。
需要の変動を事前に把握することで、需要が高まる時期にはそれに応じて値上げすることで収益を最大化し、逆に需要が低い時期には適正な値下げで魅力的なプロモーション価格を適用し稼働率を向上させることが可能です。
具体例として、近隣エリアでのイベントや旅行シーズンの開始を予測して料金を引き上げる一方、閑散期には特別プランや期間限定割引を提供して収益を安定させる方法が挙げられます。
このような柔軟な対応が施設稼働率の維持に不可欠です。

プロモーションとマーケティングの強化

客室稼働率を向上させるためには、プロモーションとマーケティングの強化も必要になります。
適切なマーケティングを行うことでターゲットとする顧客への到達が可能となり、ブランド認知度を効果的に向上させることができます。
例えばオンライン旅行代理店(OTA)は宿泊施設が認知を広げ、効率的な集客をするための効果的なツールとして知られています。
Booking.comやExpediaなどの主要なOTAサイトを活用することで、施設情報を広範囲の旅行者に届けることが可能となり、新規の予約の増加が期待できます。
特に、国際的な旅行者や自身のウェブサイトへのアクセスを持たない潜在顧客層にもリーチできるため、集客力の向上に繋がります。
また公式ウェブサイトはゲストにとって最初に接触する窓口であり、その印象がブランドイメージを左右します。
ウェブサイトのSEOを最適化すれば、ネット上で検索された際に上位に表示されます。これにより潜在顧客を効率的に引き込むことが可能です。
さらに特別プランや季節ごとにプランやイベントを設定することで、ユーザーの興味を引き起こし、選ばれる確率を高めることができます。
例えばクリスマス期間限定のディナー付き宿泊パッケージや、ゴールデンウィーク期間のファミリープラン、また春休みにはお得な料金がついた家族向けオプションなど、顧客層やその時期のニーズに応じたプランを展開することで集客率が高まります。

成功事例から学ぶ客室稼働率向上の秘訣


成功事例を参考にすることで、効率的に客室稼働率を高める手法が見えてきます。
高い稼働率を誇るホテルは、料金設定やプロモーション、顧客体験の向上など多岐にわたる戦略を駆使しています。

  • 高稼働率を達成したホテルの事例
  • リゾートホテルやビジネスホテルの具体例

高稼働率を達成したホテルの事例

高稼働率を達成するためには、効率的な運営戦略や広告戦略を適切に活用することが不可欠です。
具体的な施策を実施することで、顧客満足度を高めてリピーターを増やし、結果的に稼働率を向上させることが可能となります。
例えば、あるリゾートホテルでは、OTA(オンライン旅行代理店)を積極的に活用し、ターゲット層に合わせたプロモーションを展開し続けることで、安定した高い稼働率を維持しました。

リゾートホテルやビジネスホテルの具体例

リゾートホテルでは、繁忙期となる季節ごとの需要を考慮した料金設定が成功の鍵となります。特に需要のピークを逃さず対策を講じることで、収益の最大化を図ることが可能となります。
例えば、夏休みの期間中、リゾートエリアで特別プロモーションを実施し、家族連れをメインターゲットとしたパッケージでの販売が、非常に効果的であった事例があります。
一方で、ビジネスホテルでは、平日夜の宿泊と会議室利用をセットにしたプランを導入することが集客に貢献します。
ビジネス需要が主となる立地では、会議利用と宿泊の組み合わせによりターゲットとなる顧客層の関心を引き、稼働率を向上させることができます。
都市部においては、企業向けに特化した会議宿泊プランを展開し、その結果継続的な利用客の増加を実現した事例が見受けられます。

まとめ


客室稼働率(OCC)とは何か、計算方法からADR、RevPARとの関連性と稼働率をあげる秘訣をご紹介しました。
データを元にした分析は、経営戦略を決定する上で重要な指標になります。
OTAを利用して認知を広げ集客率をあげたり、季節や需要に合わせたプロモーションを行ったりといった具体的な戦略の裏付けとして、定期的なデータ分析は欠かせません。

また最も収益を左右する部屋の価格設定において、数値を元に設定理由を明確にしておくことは、その後価格を適正に調整していく上で大事になります。

OCC、ADR、さらにはRevPARといった数値データを上手に利用して、ホテルの収益を最大化しましょう。