マーケティングは、新規顧客の獲得やイメージアップなどに不可欠です。ホテル運営を成功させるためには、自社にあったマーケティング戦略を選び、実行していくことが求められます。この記事では、ホテルのマーケティング戦略における代表的な4つの手法と、基本的なステップについて解説します。マーケティングに力を入れたい担当者は、ぜひご覧ください。
1.ホテルにおける4つのマーケティング
ホテルにおけるマーケティング戦略には、大きく以下の4つがあります。
- アウトバウンドマーケティング
- デジタルマーケティング
- ブランドマーケティング
- 口コミマーケティング
以下では、それぞれのマーケティング戦略について詳しく解説します。
1-1.アウトバウンドマーケティング
アウトバウンドマーケティングとは、ホテル側から見込み顧客にアプローチし、顧客になってもらうことを狙うマーケティング手法のことです。
アウトバウンドマーケティングにおけるアプローチ手段には、以下のような種類があります。
- テレビコマーシャル
- 看板広告
- 電車のつり革広告
- 折込チラシや新聞・雑誌の広告
- Web上でのバナー広告
アウトバウンドマーケティングは、多数の見込み顧客にアプローチができる方法です。しかし、コマーシャルや広告出稿などには多額の費用がかかる場合が多く、ある程度の予算をかけないと実行できません。また、ペルソナを正しく設定し、ターゲットの目に入る手段を選ばないと期待した効果は上げられず、費用が無駄になってしまいます。
1-2.デジタルマーケティング
デジタルマーケティングとは、その名のとおりインターネットや動画などのデジタルな手段を用いたマーケティング手法です。
具体的には、ホームページやオウンドメディアの運用やSEO・MEO対策、SNS運用やインターネット広告の活用などがあります。
SEO対策やSNSなどは、近年注目を集めているアプローチ方法であり、多くのホテルが取り組んでいるマーケティング戦略です。特に、インフルエンサーに依頼してSNSで発信してもらう、という方法が主流になっています。
デジタルマーケティングは、費用を抑えて実行できる方法です。一方、ある程度のノウハウが必要なため、デジタルマーケティングに詳しい人材を雇用するか、そうでない場合は外部に委託する必要があります。
MEO対策については、以下の記事をご覧ください。
1-3.ブランドマーケティング
ブランドマーケティングは、認知度を向上させたり、ブランドイメージを浸透させたりするために行うマーケティング戦略です。例えば、「おもてなしで有名なホテルといえば星野リゾート」「コストパフォーマンスが高いホテルといえばアパホテル」のように、何か特化するポイントを定めて「〇〇といえばこのホテル」というイメージを持ってもらいます。
ブランドマーケティングを実践するためには、中長期的なスパンで取り組む必要があります。また、インターネット上での炎上や不祥事など、一度ブランドイメージが下がってしまうような行動を行うと、それまでの取り組みが無駄になってしまいかねません。
1-4.口コミマーケティング
口コミマーケティングとは、ゲストに口コミを投稿してもらい、そこから新たな顧客獲得につなげたり、認知度向上を狙ったりするマーケティング手法です。多くの方は、宿泊前に口コミを参考にします。同じようなエリア・価格帯のホテルで迷った時は、口コミをもとに泊まるホテルを選ぶ場合がほとんどです。
評価が高ければ、広告宣伝費をかけずに集客できるため、うまくいけば費用対効果が非常に高い方法といえます。
口コミマーケティングを実践するためには、ゲストから多くの口コミを集める必要があります。口コミをもとにサービス改善やプランの追加などを行えば、さらに評価が高くなり、顧客満足度の高いホテル経営が実現するでしょう。
しかし、必ずしも良い口コミが集まるとは限りません。また、否定的な口コミに返信しない・高圧的な返信をする、といった悪い対応をとってしまうと、逆効果になってしまう可能性もあります。寄せられた口コミに真摯に対応することが大切です。
2.ホテルにおけるマーケティング戦略の立て方
ホテルにおけるマーケティング戦略は、主に以下の4ステップで行いましょう。
- ターゲット・ペルソナ設計
- 自社分析(SWOT分析など)
- 競合調査
- コンセプト設計
各ステップについて、以下で解説します。
2-1.ターゲット・ペルソナ設計
まずは、自社ホテルを利用して欲しいターゲットを明らかにします。ターゲットを決めないと、マーケティング戦略を実行するうえでの軸がブレてしまい、効果が得にくくなってしまいます。年齢・性別・仕事・年収の目安など、さまざまな観点から検討し、ターゲットを明確にしましょう。
ターゲットが決まったら、ペルソナを設計します。ペルソナとは、ターゲットをより具体的にしたものであり、特定の人物像のことです。ペルソナは、以下のように具体的に設計しましょう。
年齢:35歳
性別:男性
家族構成:妻・娘の3人家族
所属・特徴:メーカーの営業担当
趣味:ゴルフ
生活スタイル:平日は仕事で、外回りが中心。出張が多く、ビジネスホテルの利用回数が多い
このように細かく決めていくことで、マーケティング戦略を実行しやすくなります。また、ホテルを認知してから予約、実際に宿泊し、リピーターになるまでの流れも分析しやすくなるのです。
ホテルは、基本的にはさまざまな客層が訪れるため、ペルソナは5人程度設定しておくのが望ましいです。
2-2.自社分析
続いて、自社の強みや弱み、アピールポイントなどを把握するために自社分析を行いましょう。自社分析の際は、SWOT分析というフレームワークを活用するのがおすすめです。
SWOT分析とは、トレンドや競合などの外部環境と、自社の持つ経営資源といった内部環境について分析するためのフレームワークで、マーケティングの意思決定や戦略策定などに用いられます。Strength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)という4つの要因について分析し、それぞれプラスとマイナスに分類して検討していく手法です。
SWOT分析を行うことで、自社の中でもアピールしていくべきポイントや改善していくべきポイント、今後の動向などを理解でき、マーケティングに活用できます。
2-3.競合分析
競合分析も欠かせないステップです。競争環境を分析し、正しく把握することで、自社が取るべき戦略が明らかになります。
競合分析の際は、以下のような流れで行いましょう。
- 競合他社を特定する
- 競合の所在地や提供プラン・施設・サービスなどの概要を一覧にする
- 競合の提供プランについて分析する
- 競合の食事やアメニティなどについて詳しく調べる
- 自社と競合をマッピングする
- 競争環境における自社の立ち位置を明らかにする
- 自社の戦略を検討する
競合分析を行った後、自社がアピールできるポイントを明確化し、マーケティングの際はそれを押し出していけるようにしましょう。例えば、競合に比べると標高が高くて景色を一望しやすい場合は、景観をアピールするための綺麗な写真をホームページに多く掲載したり、インスタグラムに載せたりできます。食事が充実している場合は、夜食付きの1泊3食プランを提供したり、ドレッシングやお菓子などをお土産として持って帰ることができるプランを用意すると良いでしょう。
自社だけでなく、競合も徹底的に分析することで、独自の強みや魅力を見出すことが大切です。
2-4.コンセプト設計
自社や競合の分析が終わったら、コンセプト設計を行いましょう。コンセプトを設計することで、それを参考にマーケティングの意思決定を行えます。
創業からずっと統一したコンセプトで運営しているホテルも多いですが、現代のトレンドにあわないコンセプトになってしまっているケースもあります。一度見直しを行い、市場環境にあったコンセプトを選びましょう。
コンセプトをもとに、CMの作成やホームページ運用、SNS運用などを行っていきましょう。
3.ホテル経営を成功させるにはセルフチェックインシステムの導入がおすすめ!
今回は、ホテルにおけるマーケティング戦略について、代表的な4つの種類と、基本的なステップを解説しました。ホテルにおけるマーケティングにはさまざまな種類があります。自社や競合の分析を行ったうえで、自社に適した方法でマーケティングを行いましょう。
ホテル経営を成功させたい場合は、マーケティングだけでなく、運営の効率化を図ることも重要です。そのためには、セルフチェックインシステムの導入を検討してみてはいかがでしょうか。セルフチェックインシステムとは、その名の通りホテルや旅館などでのチェックイン作業をゲスト自身で完結できるシステムのことです。ゲストに事前にQRコードが発行され、それをチェックインシステム端末にかざすと端末が自動で本人確認を実施し、チェックインが完了します。スマートロックと連携すれば、鍵の受け渡しまでを自動化できます。従来のフロント業務を効率化するシステムとして注目されており、ホテル運営において導入メリットが大きいシステムです。
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