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民泊とは?民泊経営に必要な情報を徹底解説【手順、費用、失敗例と回避策】

コラムホテル経営

民泊とは、住宅の一部や別荘、マンションの一室などを宿泊施設として提供することです。
外国人観光客が急増している現在、民泊経営に挑戦することで、成功を掴めるチャンスがあります。今回は、民泊経営を始めたい方に向けて、手順や費用、失敗例とその回避策についてわかりやすく解説します。

民泊とは


そもそも民泊とは、個人宅の一部や空き別荘、マンションの空き部屋を、宿泊施設として提供するサービスのことです。
近年では、インターネット上で「空いている物件を短期的に貸して収益を得たい方」と「宿泊場所を探したい旅行客」をマッチングするビジネスが展開されており、民泊の利用者は増加しています。
特に、日本ではインバウンド需要が増加しており、訪日外国人観光客の多様な宿泊ニーズに対応できる選択肢として、民泊のニーズが高まっています。

民泊とホテルの違い

民泊とホテルの決定的な違いは、民泊はあくまでも宿泊施設ではなく住居であるという点です。
ホテルや旅館では、その建物で寝泊りしている人は全員旅行者です。しかし、民泊の場合は必ずしもそうであるとは限りません。
例えば、マンションの1室を利用して民泊を運営する場合、その隣では入居者が暮らしています。民泊によっては、宿泊客と同じ部屋にオーナーが生活しているという場合もあります。
また、民泊で使われる家屋は住居として作られているため、洗濯機やリビングなどが備わっていることが多いです。

民泊を利用するターゲット

民泊の利用者は多岐にわたります。以前は外国人旅行客がメインでしたが、最近では宿泊費を抑えて旅行したい国内の観光客や、大人数で旅行したい若者などにも利用されています。
また、出張先のビジネスホテルがいっぱいで予約できなかったビジネス利用者が宿泊することもあります。
このように、民泊を利用するターゲットはさまざまです。民泊にしたい部屋や建物の立地、広さ、設備などから、ターゲットを設定することが大切です。

民泊を運営するメリット


民泊運営側にとって、民泊を運営することには以下のようなメリットがあります。

  • 不動産を有効活用できる
  • 地域活性化に貢献できる
  • 民泊物件として売却できる

それぞれ見ていきましょう。

不動産を有効活用できる

民泊を運営する大きなメリットは、不動産を有効活用できることです。使っていない土地や建物、一室などを宿泊場所として貸し出すことで、収入源にできます。
また、ホテルや旅館に比べて、開業するハードルが低いのもメリットです。ホテルや旅館を開業するとなると、許可を取得したり、消防設備を整備したりなど、コストがかかります。
民泊であれば、小規模でスタートできるため、比較的気軽に開業できます。

地域活性化に貢献できる

民泊を通じて地域の経済と文化の振興に寄与することができます。観光客が増えることで、地元のレストランや観光スポットなどの需要が増え、地域全体の経済が活性化するからです。また、地域固有の文化や伝統を観光客に紹介する機会が増え、文化の保存や発展にもつながります。
例えば、民泊を利用する観光客が増えると、地元の飲食店やお土産店の売り上げが増えます。さらに、地域の祭りやイベントに参加する観光客も増えるため、地域の文化イベントが盛り上がるでしょう。民泊は地域の経済と文化の発展に大きく貢献します。

民泊物件として売却できる

民泊として運営する許可を取得することで、民泊物件として売却できるのもメリットです。民泊物件として売却することで資産価値を高めることができます。なぜなら、民泊物件は通常の住宅よりも高い収益性があるため、投資家にとって非常に魅力的な物件となるからです。例えば、東京や大阪の都市部にある民泊物件は観光客からの需要が高いため、普通の住宅以上に高価格で売却されるケースが多々あります。
将来的な売却を視野に入れることで、民泊物件の投資としての魅力が増大します。また、インバウンド需要の増加や円安の影響で外国人観光客数が増えている現在の状況では、特に都市部の民泊物件は高額で取引されることが期待されます。民泊物件としての収益性をアピールし、インテリアや設備を整えることで、さらに高価での売却が可能となります。

民泊の種類と経営するために必要な許可


民泊にはいくつか種類があります。経営を始めるには、各種の法規制や許可を理解することが重要です。本章では、民泊の種類別に必要な許可について詳しく解説します。

旅館業法に準拠した民泊

旅館業法に準拠した民泊とは、厚生労働省が管轄している旅館業法の許可を得て経営する民泊です。
旅館業法には「旅館・ホテル営業」と「簡易宿所営業」の2つの許可があり、一般的に民泊は「簡易宿所営業」の許可を取得して経営します。「簡易宿所営業」は、宿泊場所を複数人で共有する構造を主とする施設であることが定義されています。
「簡易宿所営業」の許可を取った民泊のメリットとしては、営業日数に制限がないことがあげられます。このため1年を通してしっかりと利益を出すことが可能です。
一方、建築基準法の用途地域の制限を受けるため、のちに紹介する民泊新法による民泊と比べると営業できるエリアが限られている点がデメリットといえるでしょう。

参考:厚生労働省 民泊サービスを始める皆様へ~簡易宿所営業の許可取得の手引き~(平成30年6月改訂版)

住宅宿泊事業法(民泊新法)に準拠した民泊

住宅宿泊事業法(民泊新法)に準拠した民泊とは、都道府県知事への「届出」を提出して経営する民泊です。
自宅の空き部屋に旅人を招き入れる形式の家主居住型と、相続した実家や購入したマンションなど自宅以外で民泊を提供する形式の家主不在型の2つに分類されます。
民泊新法による民泊経営は、自治体によって審査が異なるものの、届出を提出することで営業が可能になるため、開業までのスピードが比較的早いことがメリットと言えます。また住居専用地域での営業ができるため、自宅などを利用することで初期費用を抑えることができることもメリットのひとつです。上記のようなメリットがある半面、年間営業可能日数が180日に制限されるというデメリットがあります。
また自宅以外で民泊を経営する場合、住宅宿泊管理業者への委託が必要になります。委託すると売上に対して15%~20%程度の手数料がかかるため、この点もデメリットと言えるでしょう。

特区民泊

特区民泊とは、外国語を用いた案内の提供など外国人旅行客の滞在に適した施設の民泊サービスに対し、旅館業法の適用を除外する制度です。国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業とも言います。
特区民泊の経営には、内閣府(厚生労働省)の「認定」を受ける必要があります。
民泊新法による民泊と異なり、家主不在型の運営でも委託義務がないことがメリットです。また、特区民泊は住居専用地域で営業が可能です。

デメリットとして対象エリアが限定されている点や、ゲストの宿泊日数が2泊3日以上とされている点があります。
参考:民泊制度ポータルサイト 特区民泊について
参考:内閣府 国家戦略特区 旅館業法の特例(特区民泊)について
参考:国土交通省観光庁 住宅宿泊事業(民泊)を始める方へ 2022年3月

民泊経営にはいくらかかるのか


民泊経営を始める上で最も気になるのは、どれくらいの費用がかかるかということです。本章では、民泊経営にかかる初期費用からランニングコストまで、具体的な金額や項目を解説します。

初期費用

民泊の経営に必要な初期費用の内訳は、物件の購入費用やリフォーム、内装費用、家具や家電の購入費用などが想定されます。具体的な費用は物件の場所や規模によって大きく異なりますが、一般的には数百万から1,000万円程度が必要となるでしょう。

ランニングコスト

民泊経営における具体的なランニングコストとして、光熱費、インターネット料金、清掃費、人件費、広告宣伝費などが挙げられます。これらのコストは月々の固定費用として発生し、適切に管理しなければ収益を圧迫してしまいます。
例えば、光熱費は宿泊施設を運営する上で避けられない費用であり、特に冬季や夏季の冷暖房費が高額になることが考えられます。同様に、インターネット料金も訪問者の満足度を高めるためには必要不可欠です。また、清掃費は頻繁に発生するため、効率的に管理することが求められます。
広告宣伝費や人件費もランニングコストの一部ですが、これらは集客効果やサービスの質向上に直結するため、適切なバランスを見極めることが大切です。適度な投資をしながら、無駄な経費を削減する工夫が必要です。
ランニングコストを適切に管理するためには、予算の策定と実際の運用状況の比較を定期的に行い、効果的なコストカットを実施することが肝心です。例えば、節電意識を高めたり、清掃作業を効率化するための新しいシステムを導入したりすることが考えられます。
成功する民泊経営を目指すならば、ランニングコストの適切な管理が不可欠です。収益を高めるためには、これらのコストを常に意識し、最適化を図る努力が求められます。

民泊経営に失敗しやすい理由


民泊経営を始める前に、なぜ多くの人がこのビジネスにおいて失敗しやすいのかを理解することが重要です。ここでは、民泊経営における代表的な失敗要因について解説します。

  • 民泊新法による180日の営業日数制限
  • なかなか利益にならない、資金繰りが難しい
  • 観光需要の影響を大きく受ける
  • ホテルや旅館など競合が多い

民泊新法による180日の営業日数制限

民泊新法では、営業日数が年間180日以内に制限されています。この制限は、住宅地における住環境の保護や近隣トラブルの防止を目的としています。また、伝統的な旅館業やホテル業との適正な競争環境を保つために設けられています。
この制限により、通常の賃貸物件と比較して収益機会が限定されることが多いです。このため、民泊オーナーは制限を遵守しつつ、収益を最大化するための工夫が必要になります。

なかなか利益にならない、資金繰りが難しい

民泊経営では、思っているよりさまざまなことに費用がかかります。例えば自宅以外で民泊をする場合はリフォームが必要になり、初期費用がかさみます。光熱費や施設維持費などのランニング費用も無視できません。これらの費用が重なるとすぐに利益を出すことが難しくなり、資金繰りが悪化する場合があります。

観光需要の影響を大きく受ける

民泊経営は観光需要の影響を大きく受けます。これは主に観光地におけるシーズンやイベントにより宿泊需要が大きく変動するためです。そのため、集客が不安定になることがあります。例えば、繁忙期の夏休みや年末年始には多くの予約が期待できますが、観光客が少ないオフシーズンには空室が増えるため収入が減少します。また、新型コロナウイルスの影響で観光需要が大幅に減少したことも一例として挙げられます。
観光需要の影響を受けやすいため、収益の安定化を図るための戦略が必要です。適切な料金設定や、プロモーションのタイミングを工夫することが重要です。また、長期滞在を促進するための割引プランを設定する、OTA(Online Travel Agency)を活用して集客力を高めるなどの対策も効果的です。

ホテルや旅館など競合が多い

特にホテルや旅館が多く存在する観光地では、民泊の経営は非常に難しくなります。これらの宿泊施設はすでに高評価のサービスを提供しており、利用者の評価も確立されています。そのため、新規参入の民泊オーナーが差別化を図るのは大変な課題です。
市場には宿泊施設全般の供給が過剰になっており、顧客獲得が一層難しくなる傾向があります。特に都市部の観光地では、ホテルや旅館が数多く存在します。これにより、民泊運営者は常に高品質のサービスを提供し続けなければならず、差別化戦略が不可欠です。例えば、観光客が求める特別な体験や、地域ならではの独自性をアピールすることが求められます。
さらに、新規参入者にとって高評価の宿泊施設と競争することは大きなハードルとなります。競合同士の差別化が難しく、供給過剰の中で顧客を獲得するためには、独自の魅力や付加価値の提供が重要です。結果として、競争激しい民泊市場では、ホテルや旅館との差別化戦略をしっかりと持つことが成功の鍵となります。

民泊経営を成功させるために必要なこと


民泊経営を始める際には、多くの課題やリスクが付きまといます。しかし、いくつかの重要なポイントを押さえることで、失敗のリスクを大幅に軽減することが可能です。ここでは、民泊経営で失敗を回避するためのポイントをご紹介します。

  • 専門家への相談
  • 管理会社へ委託する

専門家への相談

民泊経営を成功させるためには、経験豊富な専門家へ相談してみるのも手です。専門家は法的な手続きや運営ノウハウについて深い知識を持っており、トラブルを未然に防ぐための最適なアドバイスを提供できます。
例えば、専門家は適切な許認可の取得方法、集客のためのマーケティング戦略、税務上の最良の対策など、多岐にわたるサポートをします。許認可の取得は特に重要で、民泊を合法的に運営するためには必要です。また、集客においてはターゲットとなる観光客のニーズを分析し、効果的なプロモーション活動を行うことが求められます。税務においても、最適な申告方法や控除の利用など、専門家のアドバイスが大きな助けとなるでしょう。
経営のリスクを最小限に抑えて成功するために、信頼できる専門家に相談する習慣を身につけましょう。このように専門家の知識と経験を活用することで、民泊経営の成功率は大いに向上します。

管理会社へ委託する

民泊の経営を、管理会社へ委託するのも成功するための手法のひとつです。民泊の経営は、宿泊時のトラブル対応や問い合わせ対応など、開業後もそれなりに業務が発生します。特にトラブルへの対応は、民泊経営のノウハウがないとすぐに解決することが難しい場合も多いです。
管理会社へ経営を委託すれば、これらの業務負担を軽減しながら、蓄積されたノウハウで民泊経営を成功に導くことが可能です。
ただし、管理会社へ委託する際には、必ず費用対効果を検証することが重要です。管理会社への委託は業務負担が減る一方、コストもそれに比例して増加します。したがって、収益と支出のバランスを確認し、有効な投資であるかを見極める必要があります。
例えば、月々の管理費が高い管理会社に委託した場合、運営コストが増え過ぎて利益が圧迫されることがあります。そのため、どの管理会社が最適かを比較し、適切な料金でサービスを受けることが重要です。

民泊経営は賃貸物件でもできる?


民泊経営は賃貸物件でも実施が可能です。賃貸物件であっても、賃貸借契約に基づき大家の許可を得られれば民泊として利用することができるためです。また、住宅宿泊事業法や旅館業法に適合していれば問題ありません。
例えば、賃貸マンションの一部を民泊として運営している事例も多く見られます。オーナーとの契約時に民泊運営の許可を明記しておくことで、トラブルを回避できます。注意点としては、契約違反とならないように賃貸借契約をよく確認し、必要な許可や届出を適切に行うことです。
賃貸物件でも適切な手続きと許可を得れば、民泊経営が可能となります。事前にしっかりと準備を進め、オーナーや自治体との関係を円滑に保つことで、賃貸物件での民泊運営も成功する可能性が高まるでしょう。

民泊経営に成功するコツは「無人化」


民泊経営で成功するためには、初期費用や運営コストを抑え、効率化を図ることが重要です。
運営コストを抑える方法のひとつとして、民泊の無人化があります。

近年流行しているホテルのDX化のひとつに、チェックインシステムを自動化する「セルフチェックインシステム」の導入があります。
セルフチェックインシステムとは、その名のとおり宿泊客自身でチェックイン作業を行えるシステムを指し、省人化のためにチェックイン業務の一部を担う運営方法と、フロントにスタッフを配置せず無人でチェックインを行う運営方法の2つがあります。

宿泊者に事前にQRコードを発行し、それをチェックインシステム端末にかざすことで、端末が本人確認を実施して自動でチェックインできる仕組みで、スマートロックと連携できるシステムもあり、チェックインから鍵の受け渡しまでを無人化できます。
また多言語に対応しているシステムを選べば、インバウンドにも対応できます。
システムを導入して無人化を進めることで、人件費を削減でき、利益率の向上が期待できます。

民泊利用実績の高いセルフチェックインシステム「maneKEY(マネキー)」

セルフチェックインシステムのひとつである「maneKEY」は、民泊を中心に小規模施設の利用実績が高いスマートチェックインシステムです。

チェックイン、チェックアウトはゲスト自身で行うことができ、スタッフの介入が必要ありません。日本語、英語をはじめとする5言語での言語表示切替があり、インバウンドにも対応しています。またスマートロック連携オプションを利用することで鍵の受け渡しが不要になり、完全無人運営が可能になります。

詳しくはこちらからお問合せください。