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宿泊療養とは?コロナ陽性者の「ホテル宿泊療養」実態と現状

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宿泊療養とは?実態と現状を調べてみた!

日本国内で猛威を振るっている新型コロナウイルス(COVID‑19)ですが、いまだに感染者は減らず、毎日多くの陽性者が発生しています。

新型コロナウイルス感染症の方々のうち、入院治療が必要のない軽症者や無症状者の方は、大切な家族や友人等に感染させないよう、また、症状が急変した時にも適時適切に対応できるよう、各都道府県が用意したホテルなどの施設での宿泊療養が促されています。

いつコロナに感染するかわからない現在、宿泊療養の実態について知りたいという方もいらっしゃるでしょう。今回は、宿泊療養の実態と現状はどうなっているのかについてご紹介します。あると便利な持ち物もご紹介しているため、ぜひ参考にしてください。

1.宿泊療養とは?


宿泊療養とは、新型コロナウイルスに感染した方で、入院治療が必要のない軽症者や無症状者の方に限り、感染拡大を防ぐため都道府県が用意した施設で宿泊しながら療養するというものです。

宿泊時は、施設内に看護師が常駐し毎日の健康観察を行い、随時相談が受けられる体制が整備されています。宿泊中に症状が悪化した場合は、必要に応じて医療機関を受診・入院が可能です。

宿泊療養には、A、Bの2つの場合があります。部類分けとしては以下の通りです。

  • A 入院中の方が当該医療機関から宿泊療養に移行する場合(医療機関 → 宿泊施設)
  • B 外来で診断を受けた方が自宅から宿泊療養に移行する場合(自宅 → 宿泊施設)

また、ペットを飼育している方のためにも、ペット同伴で宿泊療養できる施設も存在します。ペットは、居室内で適切に飼育できる犬・猫・ウサギ・ハムスターに限られます。

2.宿泊療養の対象者は?


宿泊療養は以下の基準を満たし、施設での療養に同意した方が対象となります。条件は、以下の全てに該当する方であることです。

  • PCR検査又は抗原検査で新型コロナウイルスに感染していることが判明した方
  • 無症状病原体保有者(症状はないが検査による陰性確認がされていない者)又は軽症であって、症状や検査所見等を踏まえ入院治療を要しないと医師が総合的に判断した方
  • 周囲に感染を広げないための留意点を遵守することが可能な方
  • 以下のいずれにも該当しない方
  • 高齢者(満65才以上)
  • 基礎疾患がある方(糖尿病、心疾患又は呼吸器疾患を有する方、透析加療中の方等)※ 定期的に処方される薬剤の内服により症状が安定している場合を除く(内服薬は、あらかじめ一定期間分を処方されていること)。
  • 免疫抑制状態にある方(免疫抑制剤や抗がん剤を用いている方)
  • 妊娠している方
  • アレルギー除去対応が必要である方
  • 文書及び会話において、日本語によるコミュニケーションが困難である方

3.宿泊施設への入所方法と入所日


宿泊施設への入所は、保健所から入所決定の連絡を受けてからです。入所日の前日の夕方以降に、保健所から連絡がきます。また、搬送当日の迎え時間については、当日の午前に保健所から連絡が入ります。迎えの時間指定はできません。

入所の際は、専用の搬送車を利用しましょう。入所当日の午後に、搬送車が指定の場所に迎えにきてくれます。搬送車が指定場所に到着したら、ドライバーから連絡が入ります。徒歩や自家用車などでの移動は不可とされているため、注意が必要です。搬送車は、ほかの宿泊療養者と相乗りになる可能性もあります。また、搬送途中に買い物に寄ることはできないため、必要なものはあらかじめ準備した状態で向かいましょう。

4.宿泊施設の退所基準と退所日

退所の際、医師の診察やPCR検査等は行われません。発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過した日が退所予定日となります。

たとえば、8月1日に発症し、8月4日に症状がよくなった場合でも、退所日は8月11日です。また、8月1日に発症し、8月9日に症状がよくなった場合でも、そこから72時間が経過した8月12日が退所日となります。

なお、解熱剤を服用して平熱になっている状態は、症状がよくなっているとはみなされません。また、退所日は医師の判断によって延期になる可能性もあります。

退所の際は、搬送車は利用できません。基本的に公共交通機関を利用して帰宅することになるため、帰宅のための交通費を持参しましょう。

5.宿泊療養での持ち物・食事について


宿泊療養で大切なのが、持ち物です。療養期間中は外出できないため、必要な持ち物は入所する時に持っていくようにしましょう。

たとえば、以下のようなものが必要です。

  • 保険証
  • 体温計
  • タオル類
  • 着替え
  • 常備薬

ホテル内で洗濯はできません。着替えやタオル類は、期間中必要な分を用意しましょう。また、ホテル内の自動販売機は利用できません。食事の際に飲み物も支給されますが、多めに持っていきたい場合は、飲み物を持参するのがおすすめです。

5-1.差し入れについて

家族や友人からの差し入れは、直接持参する場合に限り認められています。宅配便を利用しての差し入れは認められていないため、注意が必要です。

ただし、差し入れの受け渡しについては、前日までに事務局に申し出る必要があります。また、常温で保存できるものに限られます。たとえば、アイスクリームや冷凍食品のようなものは差し入れできません。

5-2.宿泊療養中の食事

飲み物と食事は1日3食提供されます。全員に同じものが出されるため、アレルギーや宗教上の理由などから食べられないものがある場合は、各自で食事を持参しなければなりません。

お弁当が出されるケースが多いです。味に飽きないよう、ふりかけや好きな食べ物を持っていくとよいでしょう。

5-3.宿泊療養であると便利な持ち物

ここからは、実際に宿泊療養を経験した方からのコメントをもとに、あると便利な持ち物について解説します。

使い慣れた枕を持っていきましょう。そのほか、スリッパやパジャマなど、身につけるものは持っていく必要があります。
シャンプーやスキンケア用品など、こだわりがある方は一式持っていったほうがよいです。
療養中は外出できません。部屋での気分転換として、小分けのお菓子やゲーム機器を持っていきました。
お弁当は脂っこいものが多かったため、栄養バランスが気になる方は野菜ジュースや野菜スープを持っていくとよいかもしれません。

6.宿泊療養の現状


現在、新型コロナウイルスの感染者のなかで入院勧告・措置の対象となるのは、以下に該当する場合です。

  • 高齢者、呼吸器疾患等の基礎疾患があるなど重症化リスクのある者
  • 症状等を総合的に勘案して医師が入院させる必要があると認める者
  • 都道府県知事が入院させる必要があると認める者

それ以外は、基本的には宿泊療養か自宅療養のいずれかとなります。

しかし、本来なら入院対象であっても、病床が不足していて入院先が確保できず、宿泊療養や自宅療養を余儀なくされている方が多くいらっしゃいます。

また、宿泊療養で使用するホテルの稼働率が低いという課題もあります。

稼働率が低い理由の1つとして挙げられるのが、清掃や消毒などに時間がかかることです。

これまで、1フロアすべてが空き部屋となってから業者を呼び、消毒と清掃を行っていたため、どうしても時間がかかってしまいました。そのため、清掃業者を特定の曜日に常駐させるなど方針を変えて、稼働率向上を目指して作業の効率化を図っています。

しかし、消毒作業が追いついておらず、稼働率はいまだに高くはありません。そのため、宿泊療養を希望しても、自宅療養を余儀なくされる可能性があります。

7.まとめ


感染拡大を防ぐ手段として有効な宿泊療養ですが、現在様々な問題を抱えています。部屋数はあるが消毒作業が追い付いていないなど、感染してしまったとしてもすぐに宿泊療養を受けられるわけではないようです。

また、宿泊療養する場合は外に出ることはできなくなります。いつ感染するかわからないため、日ごろから最低限の準備をしておきましょう。

万が一感染してしまった方は、すぐに保健所の判断に従い、感染拡大を抑える行動を意識してください。

参考記事
新型コロナウイルス感染症の軽症者等に係る宿泊療養について